『花言葉をさがして』
ヴァネッサ・ディフェンバー著 ポプラ社

題名からするとロマンチックな内容を想像しますが、里親宅を転々とする女の子が主人公。どこの里親のところに行ってもすぐグループホームに返されてしまいます。ホームなら「誰も私を愛しているふりなんかしない」(18P)と強がります。

愛された経験のない少女が18歳になって突然のように措置解除となります。公園に寝泊まりしながら花屋さんの仕事に就くことができます。それは花言葉を知っていたから。なぜ知っているのか。以前ある里親が教えてくれたからです。そこから、その里親との出会いと現在が交互に語られていきます。愛された経験のない女性が愛を自らのものにしていく、一口で言ってしまえば感動の物語と言えます。

それにしても、その、ある里親の子どもへの向かい方には驚きます。自分の悩みと子育ての問題を同等のものとして扱う、決して子どもを下にみない、軽んじない、そんな姿勢があるからでしょう。

それもそのはず、と納得できるのは、著者は里親家庭で暮らす子どもを支援するネットワークの活動をしている人なのです。読後感は、暖かい焼き芋を手に持った感じ。だけど、里親としての覚悟は生易しいものではない、と改めて感じさせる小説です。(木ノ内)

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