日本におけるパーマネンシー実現に向けて
―社会的養護に養子縁組を位置付ける制度設計―

浅古 裕代
伊藤 由子
海老根 誠国
小泉 江梨
内藤 もえ
野村 瑞希
山崎 史絵
渡邊 あかり

はじめに

第1部:パーマネンシーを念頭にした要保護児童の措置

第1章 児童の代替的措置についての世界的な動向
1. 児童の権利に関する条約
2. パーマネンシー・プランニングとは

第2章 日本の社会的養護の概要
1. 社会的養護の概念
2. それぞれの概要

第3章 社会的養護の現状と提言

1. 社会的養護の現状
2. 社会的養護の問題点
3. 社会的養護についての提言

第4章 提言に基づく措置の流れ
1. 措置の概要
2. 具体的な措置

第2部:パーマネンシー実現に必要な養子縁組を社会的養護に位置付ける


第1章 日本の養子縁組制度とその問題点

1. 日本における養子縁組
2. 現在の日本の養子縁組における問題点

第2章 養子縁組を社会的養護に位置付けるための提言
1. 提言の概要
2. 児童福祉法に関する提言
3. 民法に関する提言
4. 総括

第3章 諸外国の養子縁組制度
1. 韓国
2. ドイツ
3. アメリカ

おわりに

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はじめに
 まず、この共同研究の背後に、「すべての子どもに、早く恒久的な安定した生活環境を実現する。」という一番の大きなテーマがあることを強調したい。ここで言う「すべての子ども」とは、もちろん両親がおり、一般的な家庭で健全に暮らしている子どもも含まれるが、そのような子どもにはすでに恒久的で安定した生活環境が実現されている。そこで、この共同研究では、特に要保護児童を対象に考えていくこととした。
 すなわち、私たちは、要保護児童が、永続的な家庭環境で暮らすことの必要性を主張したいのである。なぜなら、要保護児童が、家庭の愛情を感じながら、健全で安定した環境で暮らすことによって、人に愛情を持って接せられる人間に成長したり、成長後の安心感を持つことができたりするからである。
 しかしながら、日本の社会的養護の中に、このようなパーマネンシー・プランニング(第1部第1章参照)の考え方は存在していない。日本の要保護児童の総数は、平成21年度末で、約40,600人であるが、その約9割が、施設養護の下で暮らしている。また仮に、里親などといった家庭養護の中で育てられたとしても、永続的な家庭が保障されているわけではなく、例えば18歳になると、満年齢として里親の措置が解除されてしまう(用語、統計に関しては、第1部第2章及び第3章参照)。
 それでは、日本においてパーマネンシー・プランニングを実現するためにはどうしたら良いのであろうか。
 私たちは、この問題意識の下、共同研究を進め、要保護児童に恒久的な家庭環境、つまりパーマネンシーを与えるために、社会的養護に養子縁組を位置付ける制度を設計した。要保護児童が一時保護所に預けられてから、家庭復帰または養子縁組に至るまでの措置の流れを構築し、さらに養子縁組をパーマネンシー・プランニングの一手段として制度的に位置付ける法整備を検討したのである。
 また、世界的な代替的措置の動向との比較を行うことで、日本の社会的養護の問題が明確になり、韓国、ドイツ、アメリカといった諸外国の養子縁組制度を詳細に分析し、参考にすることで、制度設計をより具体的で有意義なものにすることができた。
 本稿に、私たちの共同研究の成果をまとめ、これからパーマネンシーを念頭にした要保護児童の措置と、パーマネンシー実現に必要な養子縁組制度の法整備について論じていく。

第1部 パーマネンシーを念頭にした要保護児童の措置
第1章 児童の代替的措置についての世界的な動向 このページのトップへ
 まず、この章では、海外諸国との具体的な法制度の比較ではなく、児童の代替的措置に関する世界的な動きを考察していきたいと考える。なぜなら、このような考察を行うことで、この問題に関する日本の全体的な現状が浮かび上がると考えるからである

1. 児童の権利に関する条約
 パーマネンシー・プランニングや、世界的な動向を考察する前に、まずは、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)について述べたい。児童の権利条約は、18歳以下すべての児童の権利を保障している。今後述べる世界的な動向や指針も、児童の権利に関する条約と密接に関連していることは言うまでもなく、同条約の条文を考察し、児童への援助などの根本的概念を理解することは重要であると考える。また、日本でも同条約は、1994年に批准されており、したがって国内法より優位にある、という点は抑える必要性を感じる。
 早速、各条文について考察するが、まず、同条約第3条第1項では、児童の措置に関して、「児童の最善の利益が主として考慮される」1べきだとしている。これは当然のこととも思われるが、日本では果たしてこれに基づいた措置や援助が行われているであろうか。確かに、何が「最善の利益」であるかは、子どもそれぞれであり、一概にいうことは不可能である。しかしながら、我々の掲げる、「すべての子どもに、早く恒久的な安定した生活環境を実現する」という大きなテーマは、少なからずこの条約の理念に相応しいものであると考える。
 第二に、同条約第20条では、実親と暮らすことができないなど、家庭環境が奪われてしまった子どもへの代替的措置と、その養育における継続性の望ましさについて規定されている。2 「望ましい」という言葉では、保障されているとまでは言えない、と言うこともできるかもしれないが、今後述べる世界の動向において、この継続性、永続性が大変重要なものとされている点は、覚えておく必要があるであろう。
 また、この条約に関する2010年に行われた第3回日本政府報告に対して、同年の国連の児童の権利委員会からの最終見解では、以下のような点が指摘、懸念され、これらの解決を求められている3

 ・「家族基盤型の代替的児童養護についての政策の不足」
 ・「小規模で家族型の養護を提供する取組にかかわらず多くの施設の不十分な基準」
 ・「一部の里親が財政的に支援されていないこと」
 また、児童の権利に関する条約に基づき、児童の代替的措置に関する世界的な方針として、2009年12月の国連総会採択決議による、「児童の代替的養護に関する指針」がある。この指針の目的は、「児童の権利条約、並びに親の養護を奪われ又は奪われる危険にさらされている児童の保護及び福祉に関するその他の国際文書の関連規定の実施」4の強化にある。この節の終わりとして、この指針のごく一部をここに引用する。5

 ・12項目目:「代替的養護を受けている児童に関する決定」は、「安全かつ継続的な愛着心という児童の基本的なニーズを満たすことの重要性を十分に尊重すべきであり、一般的に永続性が主要な目標となる。」
 ・23項目目:「大規模な施設養護が残存する現状において、かかる施設の進歩的な廃止を視野に入れた、明確な目標及び目的を持つ全体的な脱施設化方針に照らした上で、代替策は発展すべきである。」

 以上のように、世界がいかに、子どもの利益を最善に考えた代替的措置の重要性を認識し、それに取り組んでいるのか、ということが分かるのではいだろうか。このように世界を見渡せば、我が国の社会的養護が、これらのような方針に沿っていないという考えに至ることは必至である。
1 外務省「児童の権利に関する条約」全文
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html
2 同上
3 外務省 第3回日本政府報告に対する委員会からの最終勧告 2010年6月http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/pdfs/1006_kj03_kenkai.pdf
4国連総会採択決議「児童の代替的養護に関する指針」2009年12月1頁http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018h6g-att/2r98520000018hly.pdf
5 同上 4、5頁

2. パーマネンシー・プランニングとは

 それでは、具体的に世界では、どのような理念に基づいて児童の代替的措置を行うとしているのであろうか。そこで挙げたいのが、パーマネンンシー・プランニング、という考え方である。冒頭で、「すべての子どもに、早く恒久的な安定した生活環境を実現する」というテーマを挙げたが、これはまさにパーマネンシー・プランニングの理念を背景としたものである。私たちがなぜ、パーマネンシー・プランニングの定義を重要視するかについての詳細は、第1部第3章の2で述べているため、ここではその概要、定義、この理念が私たちの提言の裏づけとどう関与するのかについてふれることとする。
 パーマネンシー・プランニングは、アメリカの連邦法で定められている制度である。これの第一目標は家庭維持(元の家庭のまま在宅指導)、第二目標は家族再統合、第三目標が(特別)養子縁組、第四目標が社会自立、である6
 A. N. Malucciの定義7によれば、パーマネンシー・プランニングとは、「短い限定された時間内で子どもが家族と生活することを援助するための計画された一連の目標志向活動を遂行する組織的なプロセスである。家族との生活は、実父母あるいはケアを行っている者との関係の継続および人生を通しての関係確立の機会を提供するものである。」というものである。
 この定義を私たちのテーマにあてはめると、「すべての子どもに、早く(=短い限定された時間内で)恒久的な(=継続および人生を通して)安定した生活環境(=実父母あるいはケアを行っている者との関係確立の機会を提供)を実現する」と言い換えることができ、私たちのテーマを裏づけている。
 また、「早く(=短い限定された時間内で)」という文言は絶対的に定義に含まれるものなのか、という主張も存在するかもしれないが、たとえ定義に含まれないとしても、「早く恒久的な安定した生活環境」を子どもに実現するには、「出来るだけ早期に実親に代わる「特定の大人」として、出来れば法的な親を用意してやることが望ましい」8という意見は少なくないのではないだろうか。

以上の世界の動きや、パーマネンシー・プランニングの定義を根底に、次章からは日本における社会的養護について述べていくこととする。

6養子と里親を考える会『新しい家族 第54号』原人舎2011年106~111頁
桐野由美子「里親支援機関の日米比較―日本の進むべき方向性を考える」
7 野沢正子「児童福祉の方法原理:
子どもの権利条約及びパーマネンシー・プランニングの意義と特質」2000年 67頁
http://repository.osakafu-u.ac.jp/dspace/bitstream/10466/6832/1/2009000931.pdf
8 資生堂社会福祉事業財団『世界の児童と母性 VOL.69』2010年17頁

第2章 日本の社会的養護の概要 このページのトップへ
 日本において、児童の代替的養護は社会的養護という名称で機能している。この社会的養護の問題について考えていく前に、まずは日本の社会的養護はどのようなものなのか、定義等を踏まえながら概要を説明していきたい。

1. 社会的養護の概念
社会的養護とは、保護者の死亡や病気、養育拒否や虐待などにより、生まれた家で育つことができない児童(以下、要保護児童)を、公的責任で社会的に保護、養育するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと9をいう。この社会的養護は、社会全体で子どもを育み、子どもの最善の利益を実現することをその理念としている。
社会的養護の機能としては①養育機能、②心理的ケア等の機能、③家族・地域支援等の機能、の3つの機能があげられる。まず①は家庭での適切な養育を受けられない児童を養育する機能であり、次に②は、適切な養育が受けられなかったことによる心の傷や発達のゆがみを回復する機能である。そして③は、里親や施設で養育されていた児童が再び家庭に復帰できるようにするため親子関係の再構築の支援を行ったり、里親委託後や児童が家庭に復帰したあとのアフターケアを行ったりする機能10である。

2. それぞれの概要
次に、児童福祉法、第13回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会による社会的養護の用語整理11を踏まえた上で、社会的養護それぞれの概要を説明する。
9 厚生労働省 「社会的養護の課題と将来像(概要)」2011年 1頁
10 注9 同上1頁
11 厚生労働省「第13回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会資料」2012年1月 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000202we-att/2r985200000202xv.pdf

(1) 家庭養護
 家庭養護とは、養育者の家庭に要保護児童を迎え入れて養育を行うものである。①一貫かつ継続した特定の養育者の確保 ②特定の養育者との生活基盤の共有 ③同居する人たちとの生活の共有 ④生活の柔軟性(たとえば、一定の献立や行事で動かされることは、家庭とは言えない。) ⑤地域社会に存在、以上5つの要件を満たすものが家庭養護であり、具体的には、里親とファミリーホームを指す。
ア. 里親
 児童福祉法第6条3項では、里親とは、「養育里親及び厚生労働省令で定める人数以下の要保護児童を養育することを希望する者であって、養子縁組によって養親となることを希望する者その他これに類する者として厚生労働省令で定める者のうち、都道府県知事が第27条第1項第3号の規定により児童を委託する者として適当と認めるものをいう。」と定義されている。そして、現在の日本の里親制度は、「養育里親」「専門里親」「養子縁組里親」「親族里親」の4種類を設けている。
(ア)親族里親
 親族里親とは、要保護児童の扶養義務者(民法に定める扶養義務者をいう。)及びその配偶者である親族であって、要保護児童の両親その他要保護児童を現に監護する者が死亡、行方不明、拘禁、疾病による入院等の状態となったことにより、これらの者による養育が期待できない要保護児童の養育を希望する者のうち、都道府県知事が児童を委託する者として適当と認める者をいう。
(イ)養育里親
 養育里親とは、要保護児童を養育することを希望し、省令で定める要件を満たし、都道府県知事が要保護児童を委託する者として適当と認め、養育里親名簿に登録された者をいう。
(ウ)専門里親
 専門里親とは、養育里親であって、次に掲げる要保護児童のうち、都道府県知事がその養育に関し特に支援が必要と認めたものを養育する者として養育里親名簿に登録されたものをいう。専門里親の対象となる要保護児童は、①児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けた児童、②非行のあるもしくは非行に結び付くおそれのある行動をする児童、③身体障がい、知的障害もしくは精神障がいがある児童、である。
 専門里親になるためには、養育里親の要件に加え、3年以上の委託児童の経験や専門里親研修を修了していることが必要である。
(エ)養子縁組里親
養子縁組里親とは、要保護児童を養育することを希望する者であって、養子縁組によって養親となることを希望するもののうち、都道府県知事が児童を委託する者として適当と認める者をいう。

イ. ファミリーホーム(小規模住居型児童養護事業)
 養育者の住居において要保護児童の養護を行うもの。児童の定員は5~6名で、養育者及び補助者は合わせて3人以上が原則。里親に次ぐ家庭的な養育環境であり、期待が寄せられている。

(2) 施設養護
ア. 児童養護施設
 要保護児童を入所させて養護する。小舎制(定員12名以下)から、大舎制(定員20名以上)まで規模は様々であり、児童と職員の比率は、就学児童6:1、3歳以上4:1、3歳未満2:1である。(児童福祉法第41条)
イ. ユニットケア(小規模グループケア)
 児童養護施設や地域において、小規模なグループによるケアを行う。1グループ6~8人に対し職員は約2名。
ウ. グループホーム(地域小規模児童養護施設)
 児童養護施設の支援のもとで、施設の敷地外の地域にある民間住宅などを活用し、家庭に近い環境で児童を養育する。定員6名に対し、職員は約4名。
エ. 児童自立支援施設
 不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、個々の児童の状況に応じて必要な指導、自立支援を行う施設。(児童福祉法第44条)
オ. 情緒障害児短期治療施設
 軽度の情緒障害を有する児童を、短期間入所させ、その情緒障害を治し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設。(児童福祉法第43条の5)
カ. 乳児院
約2歳まで(特別に必要のある場合には就学前まで可能)の乳幼児を入所させ養育する。(児童福祉法第37条)
キ. 自立援助ホーム(児童自立生活援助事業)
 養護施設等退所後、就職する児童等が共同生活を営む住居において自立支援を行う。定員は6~20名に対し、職員は約4~8名。(児童福祉法第33条の6)
(3) 家庭的養護
 家庭的養護とは、施設において家庭的な養育環境を目指す小規模化の取組のことであり、具体的には、グループホーム、ユニットケアを指す。
 また、①施設養護から家庭養護(里親、ファミリーホーム)へ移行すること。②施設養護をできるだけ家庭的な養育環境の形態(小規模グループケアやグループホーム)に変えていくこと。①と②を合わせて、家庭的養護の推進という。

 以上が日本の社会的養護の概要であるが、現状は多くの問題を抱えている。次章では、具体的な統計を基に社会的養護の現状を分析し、その問題点を明らかにしていく。

第3章 社会的養護の現状と提言 このページのトップへ
1.社会的養護の現状
(1) 要保護児童の現状
児童福祉法第4条では、児童とは「満18歳に満たない者」をいう。そして、児童福祉法6条の2第8項では、要保護児童とは、「保護者のない児童または保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」をいう。
以下、要保護児童の総数、保護発生理由、委託率、委託期間の統計から、社会的養護の現状について詳しくみていく。
要保護児童の総数については、児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会の2011年度の統計調査によると、2011年度末で、約40,600人いる。これは、里親、ファミリーホーム、自立援助ホーム、情緒障害児短期治療施設12、児童養護施設、乳児院に措置されている児童の総計である。1999年度末の時点では、要保護児童の総数は約37,100人であり、10年の間に約1割増加していることになる。また、子ども・子育てビジョンの児童養護施設610か所、里親等委託率16%等の目標値、現在の施設の平均定員等から試算すると、2014年度の要保護児童総数の見込みは、約47,600人と考えられており、1割以上増しの増加が予想される。13(図1参照)
12 心理的精神的問題を抱え日常生活の多岐にわたり支障をきたしている子どもたちに心理的治療を行う。(厚生労働省 「社会的養護の課題と将来像(概要)」2011年 8頁より)http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/09.pdf
13 厚生労働省「社会的養護の課題と将来像(概要)」 2011年 29頁

 次に、保護発生理由について述べる。保護が必要となった理由は様々だが、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の2008年度統計調査によると、要保護理由の第1位は、ネグレクト・虐待となっており、2008年度の要保護児童総数41,602人のうち11,365人(全体の27.3%)。第2位は、経済的理由・父母の就労で6,348人(15.2%)。第 3位は、父母の精神疾患で4,620人(11.1%)。
 その他の理由の統計結果は以下のようになっている。捨て子―365人(0.8%)、養育拒否―2,381人(5.7%)、不詳・その他―4,365人(10.5%)、拘禁・入院―4,217人(10.1%)、死亡・行方不明―4,026人(9.6%)、離婚―1,777人(4.3%)、児童の問題による監護困難―1,369人(3.3%)、父母の不和―383人(0.9%)、未婚―260人(0.6%)、家族の疾病の付添・次の子の出産―36人(0.08%)。14
 この統計で、一般的に「虐待」とされる「ネグレクト・虐待」「捨て子」「養育拒否」を合計すると、14,111人(33.9%)となり、全体において「虐待」が占める割合が大きいことがわかる。
3つ目に、厚生労働省の2010年度の福祉行政報告例によると、要保護児童の委託率は以下のようになっている。里親委託3,836人(8.4%)、ファミリーホーム219人(0.4%)、自立援助ホーム283人(0.6%)、児童養護施設30,594人(65.9%)、乳児院2,968人(6.4%)、その他入居型児童福祉施設8,525人(18.4%)。15
 この統計で、家庭養護とされる「里親委託」「ファミリーホーム」を合計すると、4,055人(8.7%)となり、一方、施設養護とされる「自立援助ホーム」「児童養護施設」「乳児院」「入居型児童福祉施設」を合計すると、43,370人(93.4%)となる。このことから、日本における要保護児童の委託は、家庭養護と施設養護の比率が1:9であり、大部分を施設養護が占めているということがわかる。(図2参照)
 最後に要保護児童の委託期間については、厚生労働省雇用均等・児童家庭局の2008年度の統計調査によると、以下のような統計結果となる。なお、この統計における委託先は、「里親」「児童養護施設」「情緒障害児短期治療施設」「児童自立支援施設」「乳児院」である。2008年度要保護児童総数41,602人のうち、1年未満―9,431人(22.6%)、1年以上~2年未満―7,067人(16.9%)、2年以上~6年未満―14,180人(34.1%)、6年以上~12年未満―8,957人(21.5%)、12年以上―1,869人(4.5%)となっている。どの委託先でも、「1年未満」が最も多く、期間が長くなるに従い児童数がだんだん減少している。しかし、短期委託として想定されている2年未満まで委託されている児童は、16,495人(39.6%)であり、長期委託が全体の6割を占めているという現状がある。16(図3参照)

図217

図3
18
14 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 「児童養護施設入所児童等調査結果」2009年 9頁
15 厚生労働省 「社会的養護の現状について」2011年 1頁http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/11.pdf
16 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 「児童養護施設入所児童等調査結果」2009年4頁http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/dl/s0531-16c.pdf
17 厚生労働省 「社会的養護の現状について」2011年 1頁
18 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 「児童養護施設入所児童等調査結果」2009年4頁

(2) 日本における社会的養護の方針
 日本の社会的養護に関する基本的な方針の1番目に家庭的養護の推進が挙げられている。19従来の大規模な施設では複雑な事情を抱える子どもに必ずしも対応しきれないことや、子どもが健全に成長するためには一人一人に十分に目をかけることが出来る「家庭的」な環境が必要だからである。実親と共に生活できない事情を持つ子どもにとって、自分だけを見てくれる特別な人が近くにいることは、心の安定と言う面で重要である。また、要保護児童も将来自分の家庭を作ることを考えると、いわゆる「家庭生活」の経験がなければ、世間とのギャップに直面することになるであろう。このような理由から、社会的養護においては施設養護よりも家庭養護が優先されるのである。
 しかし前章で述べたように、日本ではグループホームなどの一部の施設も家庭的養護として分類されている。私たちは、定員が従来の施設より少なく施設自体も民家に似た形態をとっているとはいえ、職員が交代で施設に通う形をとっているグループホーム等の施設を「家庭的」だとすることに違和感を覚える。外見上どれだけ「家庭」に近づけたとしても、実際には施設の小規模化に過ぎないのではないだろうか。子どもに与えるべき「家庭」環境がいかなるものかを考える必要がある。
 日本の要保護児童の約9割は施設に委託されている。家庭養護の手段である里親、もしくはファミリーホームへの委託は2009年度末で10.8%20(図4参照)であり、欧米主要国では30〜70%であることと比べて著しく低い。2002年度の7.4%から、年々ポイントが上がっているとはいえ、未だ9割の子どもが家庭とはかけ離れた環境で生活せざるを得ない状況にある。

図4
21

 このような状況を打開するために、2008年に要保護児童に関する社会的養護体制の拡充を図ること等を目的の一つとして児童福祉法が改正され、その中で里親制度が大幅に改正されることとなった。22主な改正点は以下の3点である。
 まず、1つ目の改正点としては、従来制度上の区別がなく「養育里親」に含まれていた「養子縁組を前提とした里親(以下、「養子縁組里親」)」を独立させて、「養育里親」と「養子縁組里親」に二つに区別した。また従来の「短期里親」は廃止され、「養育里親」に含まれることとなり、「養育里親」は、短期から長期までを想定した里親となった。「専門里親」と「親族里親」は継続して置かれる。したがって、この改正により、現在の「養育里親」「専門里親」「養子縁組里親」「親族里親」の4種類による里親制度が完成した。この里親区分の変更は、戦後、児童福祉法が制定されてから長らく制度上の区別がなかった「養育里親」と「養子縁組里親」を区別することより、社会的養護の担い手としての里親を増やすことをねらいとしている。23
 次に、2つ目の改正点としては、里親の要件が明確に規定された。「養育里親」には認定の要件として研修の受講が義務付けられ、里親手当が増額された24。その一方、養子縁組里親には研修の受講は要件とされず(必要に応じて受講)、里親手当は廃止されることとなった。また、欠格事由や取り消し要件が規定された25
 そして、3つ目の改正点としては、里親支援を充実させるために、都道府県の業務として、里親に対する相談や援助等の支援を行うことを明確化し、当該業務を一定の要件を満たす者に委託できるとした26
 一方で厚生労働省は、里親の他に小規模住居型児童養護事業、いわゆるファミリーホームを制度化し27、里親と同様の家庭養護として推進している。そして、要保護児童がファミリーホームに委託された場合も里親等委託率に含めている。(図4)しかし、ファミリーホームもその形態は厳密に統一されていないのが現状であり、全てのファミリーホームを一律に里親と同質の環境として考えて良いとは思えない。
 我が国では施設を小規模化する流れの中での「家庭的養護」の推進と、要保護児童をより家庭に近い環境で養護すべきという流れの中での「家庭養護」の拡充が同時に行われている。しかし、未だ100%子どものための社会的養護という視点ではなく、言葉のごまかしがあるように見受けられる。子どもにどのような環境を与えるべきかを突き詰めなければ、社会的養護に関する制度も中途半端なものにしかならないのではないだろうか。
以下で、日本の社会的養護の問題点について述べる。
19 厚生労働省 「社会的養護の課題と将来像(概要)」2011年 1頁「①家庭的養護の推進、②専門的ケアの充実、③自立支援の充実、④家族支援、地域支援の充実」
20 厚生労働省 「社会的養護の現状について」2011年 23頁
21 厚生労働省 「社会的養護の現状について」2011年 23頁
22 吉田眞理 『児童の福祉を支える社会的養護』萌文書林 2011 127頁
23 愛の手運動from KOBE http://www5f.biglobe.ne.jp/~ainote/satoyou/satoyou-syurui.html
24 養育里親手当:月額34,000円から72,000円へ増額(2人目以降は36,000円給付),専門里親手当:月額90,000円から123,000円へ増額 (2人目以降は87,000円給付) (同上より)
25 児童福祉法第34条の15
26 児童福祉法第11条第1項:都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。同条第1項2号:里親につき、その相談に応じ必要な情報の提供、助言、研修その他の援助を行うこと。同条第4項:都道府県知事は、第一項二号へ に掲げる業務に係る事務の全部または一部を厚生労働省令で定める者に委託することができる。
27 『社会福祉学習双書』編集委員会 『児童家庭福祉論第5巻』社会福祉法人全国社会福祉協議会 2011 65頁

2. 社会的養護の問題点

(1) 現在の社会的養護とパーマネンシー・プランニング
第1章で述べたように、私たちは「すべての子どもに、早く恒久的な安定した生活環境を実現する」というパーマネンシー・プランニングの理念こそが子どもの福祉に適うと考える。したがって要保護児童に与えるべき環境も、パーマネンシー・プランニングの理念に基づいて考えなければならない。
 日本の社会的養護は、パーマネンシー・プランニングの理念に適うと言えるだろうか。
 まず、「安定した生活環境」とは何を指すか。これは、特定の大人と愛着関係を形成し、学校や地域で人間関係を築きながら生活できる環境であると考える。
 このように考えると、従来の施設はもちろん「家庭的」とされるグループホームなどの施設も、特定の大人との愛着関係の形成は困難なため、パーマネンシーを実現する環境とは言えない。一方里親ならば特定の大人(=里親)と生活を共にし、愛着関係を形成することが可能である。
 次に、「恒久的な」とはどの期間を指すのか。自立し措置解除されるまでの間なのか、それとも措置される期間に関わらず、文字通り「恒久的」な期間のことを言うのか。
 児童福祉法上、児童とは満18歳までを指すが、18歳になれば自立できるわけではない。また、経済的に自立した後頼りたい時に迷わず頼れる存在がいることこそが子どもにとって必要なことである。実親がそのような存在になりえなかった児童であっても、いつまでも頼っていい人がいることこそが「恒久的」と言えると考える。
 とすると、児童福祉法第4条により18歳で措置解除される要保護児童は、すべて「恒久的な」環境にいるとは言えない。恒久的な環境を与えるためには、18歳を過ぎても措置解除されず、措置解除された後も里親との関係を続けられる制度か、養子縁組という手段をとる必要がある。
 最後に、日本の社会的養護の制度は「早く」子どもに恒久的な安定した環境を与えているのか。
 この点について、先に述べたように要保護児童の委託期間の統計(図3)から、長期委託が6割を超えることが分かる。要保護児童にとって実親の元へ帰ることが最良の環境であるが、2年以上実親の元へ帰れない子どもが半数以上を占めることから、我が国の制度が「早く」子どもに恒久的に安定した環境を与えることを重視した制度ではないことが分かる。
 このように、日本の社会的養護は必ずしもパーマネンシー・プランニングを実現することができる制度ではないことが分かる。

(2) 里親制度について
2011年に発表された里親委託ガイドラインにおいては、社会的養護として里親委託を優先すべきであると言うことが明記され28、要保護児童の委託先として重要視されている。そして、国が特に推進している里親は養育里親だと考えられる。自治体の里親推進のための取り組みが主に一般市民に向けたものであることや、養育里親に 対して新たに研修を義務化し、手当金を増額したという事実があるからである。
 しかし、里親が子どもにとってどういう存在であるべきなのか、里親に求められるものは曖昧なままである。2008年の改正で短期里親が養育里親に含まれるようになったことで、曖昧さは強まってさえいる。
 例えば要保護児童が実親の元へ戻ることを前提とするならば、里親に求められるのは家庭的な環境で里子を養育しつつ、実親と良好な関係を築いていけるよう支援することだ。一方、実親の元へ戻ることが困難であると想定される要保護児童に対しては、比較的長期に渡って児童の自立に向けた支援という立場から接することが求められるであろう。しかし、その児童が実親の元へ戻れるかが明確なケースばかりではない。里親への委託が予期せず長期になった場合、里親と里子の関係は曖昧なまま生活せざるを得ないのだ。
 更に、18歳になると措置解除されてしまうという不安が思春期の児童を不安定にさせる場合もある。里親としても、思春期前後の扱いづらい子どもと上手く接することが出来ず、この時期に里子との関係が不調となり委託が解除されるケースが増えている29
 このように不安定な環境に置かれる児童を少しでも減らし、パーマネンシー・プランニングが実現するために、私達は養子縁組を社会的養護の1つとして組み込むことを提案する。養子縁組は法的に親子関係を形成する手段であるため、里親委託では叶わない恒久的な環境を児童に与えることが出来るからである。
28 「里親委託ガイドライン」:厚生労働省 2011年 1頁http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018h6g-att/2r98520000018hlp.pdf 「社会的養護を必要とする子どもの多くは、保護者との愛着関係はもとより、他者との関係が適切に築けない、学校等への集団にうまく適応できない、自尊心を持てないなどの様々な課題を抱えている。また、望まない妊娠で生まれて親が養育できない子どもの養育が課題である。特に、乳幼児期における愛着関係の形成は重要であり、家庭的養護である里親委託がこれまでよりさらに積極的に活用されるべきである。」
29 「全児相」:通巻第91巻別冊 全国児童相談所長会事務局 2011年 65頁

3. 社会的養護についての提言

 現在日本では養子縁組は社会的養護の手段として位置づけられていない。そのため、養子縁組里親に対しては研修の義務や里親手当の支給はない。家庭的養護を推進しながらも、要保護児童に最も安定した家庭環境を与えることが出来る手段である養子縁組は、位置づけの上で軽視されており、当然その支援も為されていないのである。
 また、実親との法的関係を尊重するあまりに、特別養子という子どものための養子縁組制度が設けられているにも関わらず、児童相談所の実務の場では非常に慎重に扱われていることがほとんどである。
 「すべての子どもに、早く恒久的な安定した生活環境を実現する」ために、養子縁組も社会的養護の1つとして位置づけ、各機関がその支援を行っていくことが必要である。
 養子縁組が社会的養護の1つとして位置づけられた場合に、要保護児童の措置はどのような流れで行えば、パーマネンシーが実現されるだろうか。
 まず、「恒久的な」安定した環境とは、実親の元へ帰る場合と養子縁組をする場合の2種類がある。要保護児童にとって、実親の元へ帰ることが最良の環境であるから、第一に検討されるべきは実親の元へ帰ることである。そして、それが叶わないことが明らかである場合は、速やかに養子縁組に向けた働きかけを行うことが必要である。
 次に、「早く」安定した環境を与えるために、実親の元へ帰る、あるいは養子縁組するまでの期間は短期であることが望ましい。本論文では、パーマネンシー・プランニングの概念を生み出したアメリカにならい、短期を最大2年間と設定する。なお、短期間委託される先は、子どもがより家庭的な環境で生活することが望ましいという考えから、里親委託を原則とする。
 次章で措置の流れについて詳細に検討し、その後「すべての子どもに、早く恒久的な安定した生活環境を実現する」ための法整備について述べることにする。

第4章 提言に基づく措置の流れ このページのトップへ
1. 措置の概要
 私たちが考える措置は、児童相談所と関連機関の連携の下、①家庭的な養育環境を介して、②短期間で、要保護児童を恒久的で安定した家庭環境(実親家庭への復帰、または養子縁組)に繋ぐことを目指す。
 ①先述の家庭養護の意義と重要性を鑑みて、原則的に家庭養護の範囲内で委託措置を行っていく。しかしながら、要保護児童の性質や実親の事情によっては施設委託がやむを得ないケースもあるため、例外的に施設養護も組み込む。
 ②より短期間での家庭復帰や養子縁組を達成するために、また全要保護児童の恒久的な家庭環境について判断する機会を必ず設けるために、委託先にはそれぞれ期限を設けるとする。
 以下に全体的な措置の流れの概略図を示す。

2. 具体的な措置

(1) 親族里親委託
◇措置の流れ
 要保護児童の委託先を考える上で、まずは親族里親を検討することとする。親族里親の要件を満たす家庭が見つかった場合、最優先で委託を行う。
◇委託期限
 原則2年以内の委託期限を設ける。2年以内の実親家庭への復帰が不可能であり、なおかつ親族里親に養子縁組の意思がない、もしくは恒久的に児童を養育する意思がない場合には、児童の状況なども考慮しながら、養子縁組里親への委託を行う。
◇考察
 できる限り施設養護を減らし、家庭養護の範囲内で措置を行っていきたいと考える場合、その大きな課題として実親の同意の困難がある。現在、里親に子どもを預けるとそのまま子どもを取られてしまうと考え、里親委託に消極的になる実親は少なくない。その点、親族は実親にとって身近な存在であり、同意が得られやすく安心感もある。また児童にとっても、親族は愛着を形成しやすく、同一の地域に住んでいる場合、親しみのある地域や学校などとの繋がりを失うこともない。地域社会による養育も、児童の健全な成長にかけがえのないものである。以上より、親族は要保護児童の養育に最適であり、最も需要が高いと考える。

(2) 養育里親、専門里親、ファミリーホーム委託
◇措置の流れ

 親族里親の要件を満たす家庭が見つからない場合には、養育里親、ファミリーホームを養護の主体とする。また、児童に障害や非行性などが認められ、高度な支援技術を要する場合は専門里親に委託する。原則一時保護所や児童相談所からの直接委託とするが、例外的にユニットケアを介するケースも2例想定する。ただし、長期間の施設委託を避けるために、ユニットケアの委託期限を原則1ヶ月以内とし、早急な家庭養護への委託を図る。
〈ユニットケアを介するケース〉
①一時保護所で保護されたが、2カ月以内に養育里親、専門里親、ファミリーホームへの委託が不可能であった場合
 委託する際の諸手続き(養育里親の検索、交渉、引き継ぎ、実親の同意など)が円滑に進まず、一時保護所の期限である2カ月を超えてしまうケースが考えられる。そこで、養育里親、専門里親、ファミリーホームへの委託までの期間、ユニットケアを活用する。現在、各自治体で、児童虐待の増加、保護期限の延長などの理由により、一時保護所の定員オーバーが相次いでいる30。できるだけ施設委託を減らしたい立場ではあるが、緊急保護という本来の一時保護所の機能を取り戻すためにも、一時保護の長期化は避けるべきであり、やむを得ない。
②一時保護所の緊急保護に該当しない場合
 経済的な問題や実親の精神疾患、児童の障害などによる養育不可で、緊急性が認められない場合、児童は一時保護所への委託になじまない。とすると、児童が生活する空間が途絶えてしまう危険がある。そこで、緊急性がなく一時保護所への委託がなされなかったケースにもユニットケアを活用する。
◇委託期限
 原則2年以内の委託期限を設ける。ユニットケアを介した場合、養育里親、専門里親、ファミリーホーム委託までの養護期間も合算する。ただし、児童や実親の状況を考慮し、委託期限の延長が望ましい場合(実親の更生と家庭復帰が見込まれる場合、児童の学校の卒業が間近である場合など)は、明確な期限を定めた上で、延長を例外的に認めるとする。
◇考察
 私たちの措置の目標は、要保護児童を実親家庭への復帰、または養子縁組に繋ぐことである。しかしながらその過程においても、できるだけ家庭養護の範囲を逸することは避けたいと考える。そこで、家庭復帰、養子縁組里親委託までの期間の委託先は、親族里親、養育里親、専門里親、ファミリーホームまでとすることを、大きな原則としたい。

(3) グループホーム委託

◇措置の流れ
 先述のように、要保護児童の委託先は家庭養護(里親、ファミリーホーム)を原則とするが、施設委託がやむを得ないケースも考えられる。したがって、以下に具体的なケース例を列挙し、それらに該当する場合は、グループホームへの委託を行う。原則一時保護所や児童相談所からの直接委託とするが、イ)同様に例外的にユニットケアの活用も認める。また、著しい不調和がある場合に限り、里親やファミリーホームからもグループホーム委託を行えるとする。
〈グループホーム委託を行うケース〉
①児童に障害、病気、怪我等があり、一般家庭によるケアでは不十分であり、複数の専門職員によるケアが必要である。
②児童が家庭養護への委託を、著しく抵抗、拒絶する。
③里親委託に必要な実親の同意が得られない。
④家庭養護への委託を行っているが、著しい不調和を繰り返す。
◇委託期限
(2)と同上であるが、里親やファミリーホームから委託を行った場合は、グループホーム委託までの養護期間も合算し、2年以内とする。
◇考察
 要保護児童の養護は、できるだけ家庭養護で行われるべきと考えるが、全ての児童にそれが適しているとまでは言い切れない。例えば重度の虐待を受けた児童は、身体的な暴力によって生じる障害だけでなく、情緒や行動、自己認知・対人認知、性格形成など、非常に広範囲で深刻なダメージを受けている。児童が心の傷を癒して回復していけるよう、専門的な知識や技術を有する複数職員連携の下、より手厚いケアや養育が必要である。また、児童が里親やファミリーホームに委託されたが不調和を繰り返す場合、ある程度の距離感(複数職員交代制等)のあるグループホームの方が養護に適している可能性も否定できない。そこで家庭養護から施設養護への措置の流れも確保している。

(4) ユニットケア、グループホーム以外の施設の運用
 (1)から(3)までの措置の流れのなかで、要保護児童に特殊な支援のニーズが生じている場合、そのニーズに応じて以下の各施設を活用する。
①情緒障害児短期治療施設
 児童に情緒障害があり、心理治療のために医療的な生活支援が必要な場合。
②児童自立支援施設
 児童が非行などの不良行為を繰り返し、より強い枠のある生活支援が必要な場合。
③児童自立援助ホーム
 15歳以上の児童で、就職と自立を求め自立援助ホームの就労支援を強く希望している場合。

(5) 乳児の措置
◇措置の流れ


 (1)、(2)と同様であるが、家庭復帰の見込みが非常に薄い乳児は、直接養子縁組里親委託を行うものとする。
◇委託期限
 (1)、(2)同上とする。
◇考察
 児童相談所の一時保護所は、その設備上乳児への対応ができない場合が多いため、乳児院が実質的な乳児の一時保護機能を担っているが、そのなかには棄児や養育拒否など家庭復帰の見込みが非常に薄いケースも存在する31。乳児期は親への愛着が最も形成される発育段階にあり、より早急な恒久的家庭環境の整備を行わなければならないと考える。そこで、家庭復帰の見込みが非常に薄い乳児は直接養子縁組里親委託を行うものとする。
(6) 養子縁組里親委託後の不調和
 養子縁組里親に委託を行ったが、児童と里親との著しい不調和により、養子縁組を断念せざるを得ない場合、児童は他の養子縁組里親に委託する。他の養子縁組里親へ委託するまでに時間を要する場合、明確な期限を定めた上で、以前の委託先で養護を行う。 

 以上が提言に基づく具体的な措置の流れである。
30 『読売新聞』2010年11月15日「児童相談所の一時保護長期化背景に虐待増、施設満杯」
31 厚生労働省「児童養護施設入所児童等調査結果の概要」2009年7月 Ⅱ委託(入所)時の家庭の状況

第2部 パーマネンシー実現に必要な養子縁組を社会的養護に位置付ける このページのトップへ
第1章 日本の養子縁組制度とその問題点
 第1部では、「すべての子どもに、早く恒久的な安定した生活環境を実現する」というパーマネンシー・プランニングの理念の重要性・必要性、およびその概念に基づく措置の流れを提言してきたが、この流れによる「恒久的な安定した生活環境」の実現は、社会的養護の流れの中に養子縁組という選択肢がなければ成立しない。
 しかし、第1部第3章で述べたように、現在日本では養子縁組が社会的養護の手段として位置づけられているとはいえない。
 その現状を変え、養子縁組を社会的養護の手段として位置づける方法は次章で提言することとし、本章では、その提言に先立って現在の日本における養子縁組がどのようになっているのかを述べる。そしてその上で、現行の養子制度が抱える問題点についても言及したい。

1.日本における養子縁組
(1) 養子縁組の動向
 養子縁組制度は人為的に親子関係を創設する制度であり、その目的は時代と社会によって様々である。第1次世界大戦以降は、戦争によってたくさんの孤児・捨て子・婚外子が生まれ、その子たちに家庭を保証する必要性が生じたこと等を背景に、多くの国で、基本的に子のための制度として、児童福祉の中に位置づけられるようになった。
 これに対して日本における養子縁組制度は、江戸時代以来、家の承継を目的とする面が強いところが変わっておらず、現在でも、後継ぎや扶養を目的とする成年普通養子縁組が最も多い。(図5参照)

(グラフの参考資料32
32 日本の養子縁組届出件数は8万~9万件で推移しているが、そのうち未成年養子縁組は多い年で約1,500件、特別養子縁組に至っては例年400件前後となっている。グラフの養子縁組届出件数:法務省の戸籍統計を参照。未成年養子縁組件数:司法統計家事事件編の「養子をするについての許可」の新受数参照。特別養子縁組件数:同統計同編の「特別養子縁組の成立に関する処分」の新受数参照。法務省の戸籍統計(2010)http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001082494 司法統計(各年度の家事事件編) http://www.courts.go.jp/sihotokei/nenpo/pdf/B22DKAJ03.pdf(平成22年度)
 外国養子法の実情等を背景に、子のための制度という側面を徹底したものとして1988年に特別養子縁組制度が施行されたが、要件が厳しく、福祉法ではなく民法上に規定されていることもあって、児童福祉としてはまだまだ活用されていない。
 また、特別養子縁組制度のように、「子のため」の養子縁組といえるものが出てきてはいるものの、社会的には養子縁組はまだまだ従来のような「家のため」、子どもが欲しい「親のため」の制度と理解されており、要保護児童等の「子のため」に養子縁組を積極的に活用していこうという動きは、一部の自治体・民間団体等で進められているにとどまっている。

(2) 養子制度の法的位置づけ
 日本では、要保護児童を含めた児童の福祉に関する機関や業務等については、主に児童福祉法に定められている。そして、第1部で述べた施設や里親等に関する規定は児童福祉法上に置かれており、それらの施設への入所や里親委託も児童相談所の業務として同法で定められている。
しかし、養子縁組は身分の変動を伴うものであるとして民法上に規定が置かれており、児童福祉法上には養子縁組に関する規定は置かれておらず、民法の養子縁組に関する規定の中にも児童相談所に関することは定められていない。そのため、児童相談所が施設入所や里親委託後の措置として直接養子縁組に関与することはできない。
 そして、斡旋等の養子縁組に至るまでの規定はどちらの法にも置かれていないため、児童福祉法上の措置と民法上の養子縁組との間で社会的養護の流れが途切れてしまっている。

(3) 養子制度の概要
ア. 普通養子縁組
 普通養子縁組は、原則として、当事者の合意に基づく届け出が受理されることによって成立する(民法799条)という〈契約型〉で、協議による離縁も認められる(民法811条)。養親となる者は成年者(民法792条)か成年擬制者(民法753条)である必要があり、養子となる者が尊属・年長であってはならないが(民法793条)、縁組の要件として親子の年齢差は必要ではない。養子は、縁組の効果として養親の嫡出子としての身分を取得し(民法809条)、養親及び養親の血族との間に親族関係が生じる(民法727条)一方、実親との親子関係も存続するため、実親と養親との二重の親子関係が成立することになり、戸籍上の養親との関係は「養子」となる。
 これらの原則から、普通養子縁組は、後継ぎや扶養を目的とする成年養子を前提とした制度になっていることがうかがえる。
 もっとも、未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可を得なければならないことや(民法798条本文)、配偶者のあるものが未成年養子縁組をする時は、原則として夫婦が共同して縁組をしなければならないこと(民法795条本文)等、未成年養子縁組に関しては、子の福祉を考慮していくつか特別な手続きが設けられている。
 しかし、未成年養子縁組に関する特則の中には、子のための養子縁組と捉えるには疑問の残るものもある。養子となる者が15歳未満の時は法定代理人がその子に代わって縁組の承諾をすることができる点や(民法797条1項)、後見人が未成年被後見人を養子とする場合の、家庭裁判所の許可(民法794条)の基準が規定されていない点である。
 前者はすなわち、15歳未満の場合は、養子本人に意思能力があっても、自分で縁組をすることはできないということである。子のための制度であるなら、どのような形であれ子の意見を聞く機会があるべきではないかと思うが、これでは15歳未満の子の意見をどのように反映するのか不明である。また、同条でいう法定代理人は主に親権者、すなわち実親であるが、その同意が得られなければ縁組を成立させることはできない(民法797条2項)。子の意見を聞かない一方で、親子関係は存続するにもかかわらずそれがなければ縁組ができないほど実親の同意を重視するこのような制度が、子のための制度といえるのだろうか。
 後者で家庭裁判所の許可が必要とされている趣旨は、後見人が被後見人を養子にすることで、財産管理に関して不正を働いたり、監護教育する職務を怠ったりしないようにすることにある。とすれば、未成年被後見人を養子とする場合は、許可の基準として子の福祉的観点が必要となると考えられる。しかし実際には、財産管理の観点のみ吟味すれば足り、子の福祉確保の観点からその当否を審査すべきではないとした裁判例もある(大阪高決平成19年9月20日)。このように、許可の基準が条文上不明確で、実務においても統一されていないことは、未成年養子縁組が子のためのものとならない余地があることにつながると解するので、この点からも、この制度が子のためのものといえるのか疑問に思う。

イ. 特別養子縁組
 特別養子縁組は、養親となるものの請求により家庭裁判所の審判で成立する(民法817条の2)という〈国家宣言型〉で、原則として離縁を認めない(民法817条の10第2項)。養子となる者は縁組請求時に原則6歳未満であり(民法817条の5)、養親となる者は原則25歳以上で配偶者のある者とされている(民法817条の3、817条の4)。普通養子と同じく、養子は、縁組の効果として養親の嫡出子としての身分を取得し(民法809条)、養親及び養親の血族との間に親族関係が生じるが(民法727条)、それに伴い実父母及びその血族との親族関係が縁組成立の日から終了する点と(民法817条の9)、戸籍上の養親との関係が「実子」となる点が、普通養子縁組と異なる。
 そして実親子関係断絶というその効果の重さから、実父母の同意が必要とされているが(民法817条の6)、父母がその意思表示ができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、同意は不要である(同条但書)。親子関係断絶という、普通養子縁組よりも重い効果があるにもかかわらず、このような但書きを置いて、より子の福祉に資するようにつくられているところからも、特別養子制度が子のための養子縁組という側面を重視していることがうかがえる。
 また、特別養子縁組が成立するには、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があることが認められなければならない(民法817条の7)。特別養子縁組に関する規定の中で、特別養子縁組が子のための制度であると明記しているものはないのであるが、この条文の文言から、子のための制度としてつくられていることが読みとれる。

2. 現在の日本の養子縁組における問題点
以上のように、現在の日本において養子縁組は、法制度上も社会的理解においてもまだまだ児童福祉のものと理解されておらず、したがって要保護児童に対する社会的養護の流れの中には位置づけられていない。このような現状を変え、私たちが提案する措置の流れのように養子縁組を位置づけるためにはどうすればよいのか。現在の日本の養子縁組制度における問題点を考えてみたい。

(1) 縁組後の公的支援
 1の(2)でも少し触れたように、現行法においては、児童福祉法上の措置と民法上の契約たる養子縁組の間で、社会的養護の流れが途切れてしまっている。すなわち、社会的養護として児童福祉法上に位置づけられている施設や里親から離れて、民法上に規定されている養子縁組がなされると、養親子は法律上も“親子”として扱われることになり、その結果、その親子は社会的養護の枠から外れ、児童福祉法の管轄からも外れることとなる。児童福祉法が及ばないことから、里親等にはなされる公的支援が養親にはなされず、養親が受けられるのは一般の子育て支援のみとなる。
 しかし、試し行動33や真実告知34など、実親が抱える問題とは異なる、養親独特の問題もあり、そのような問題はむしろ里親が抱える問題と類似すると考えられる。
 さらに、養子となった者はもともと社会的養護下にあった子どもであることや、私たちの提言のように養子縁組を社会的養護の一手段として位置づけることにも鑑みれば、養子縁組後についても里親等へなされているような公的支援がなされるべきではないだろうか。
33 試し行動:相手がどこまで自分を受けとめてくれるのか、本当にいつまでも自分を子として愛してくれるのか等を知ろうとして、子どもが行うもの。赤ちゃん返りや過食等。
34 真実告知:自分は養親であり、生みの親は別にいるという事実を子どもに告げること。告げる時期や伝え方、その後のフォローなどをよく検討し適切に行うことが必要とされる。

(2) 養子縁組里親について
 第1部第4章で述べたような、私たちの考える流れで養子縁組を社会的養護の中に位置づけるとすると、養子縁組をする人は養子縁組里親を経ることとなる。しかし、先述のように、現行法においては養子縁組は児童福祉のものではないという概念があるため、養子縁組里親に関する制度もあまり整っていない。
 具体的には、養子縁組里親は養育里親と異なり、里親手当を受けられず、里親になるにあたって研修義務も課されていない点。他にも、求められる役割の違いから里親適格と養親適格とは同じではないと考えるが、養子縁組里親となる者に対してそのような特別な基準で判断されてはいない点等の不備がある。
 現在のように養育里親の方が非常に有利な制度では、養子縁組を希望していても支援等の問題で養子縁組里親ではなく養育里親へと流れていく、あるいは長期にわたり養育里親であり続けるということが考えられる。これでは、子どもに「早く恒久的な安定した生活環境を実現する」ことができない。
 そのようなことにならないように、養子縁組も社会的養護の一手段と考えるならば、その前提にある養子縁組里親制度についてもそれに足る整備をするべきではないだろうか。

(3) 民法上の不備
 そして何より、現行の養子縁組制度自体が、社会的養護の一手段として広く活用されるには不十分である。子の福祉に少し配慮しているとはいえ、未成年養子縁組には先述のような問題点があり、要保護児童のためという側面を徹底したとされる特別養子縁組も、それを広く活用していくには、養子となるものの年齢要件や子の利益のための特別の必要性等、要件が厳しすぎるという問題がある。
 他にも、父母の同意に関する規定(民法817条の6)のように、条文上では子の利益を尊重し親の同意がなくてもよい場合が明記されているものの、親子関係断絶という効果の重さゆえ、実際にはその規定が活用されないという問題もある。子の利益のために「特に」必要があることを求めている規定(民法817条の7)についてもこの問題は当てはまる。
 養子縁組を社会的養護の手段として位置づけ、要保護児童のための制度として広く活用することを考えるならば、これらの民法上、特に特別養子縁組に関する問題点を解消し、より多くの要保護児童の福祉に資する制度を整えるべきではないだろうか。

 次章では、(1)~(3)で述べた問題点を改善し、私たちが提案するような社会的養護の流れの中に養子縁組を位置づけるための具体的な方法を提言する。

 なお、本章と次章において特に重要な民法上の条文をここに引用しておくこととする。
(特別養子縁組の成立)
第817条の2
1 家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2 前項に規定する請求をするには、第794条又は第798条の許可を得ることを要しない。

(養子となる者の年齢)
第817条の5
 第817条の2に規定する請求の時に6歳に達している者は、養子となることができない。ただし、その者が8歳未満であって6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は、この限りでない。

(父母の同意)
第817条の6
 特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。
(子の利益のための特別の必要性)

第817条の7
 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。

第2章 養子縁組を社会的養護に位置づけるための提言 このページのトップへ
 第1章では、日本の養子縁組について考察し、問題点を指摘した。本章においては、その問題点を解決する手段を示し、養子縁組を社会的養護に位置づけたい。後述する韓国・ドイツ・アメリカにおいては、要保護児童のための養子縁組が制度上も充実しており、社会的養護の手段とされている。日本においてはどのように要保護児童のための養子縁組制度を設計できるか、検討する。

1.提言の概要
 日本では、先述したように養子縁組は身分の変動を伴うものであるため、民法に規定されている。そして児童福祉に関する事項は児童福祉法に定められている。同じ法構造をもつ韓国やドイツは特例法などで養子あっせん法により、養子縁組が児童福祉において活用されている35。日本においても、養子縁組あっせん法を成立させられれば、適正な養子縁組あっせんが積極的になされるといえよう。しかし、新たな法律の制定となれば、検討事項も多く、大変な労力を必要とする。そこで、今回の論文においては、将来的には養子縁組あっせん法を制定するとし、それに向けた現行制度の改正について提言したい。そして、先述した3つの問題点を解決できる法制度を考えたい。

2.児童福祉法に関する提言
(1)縁組後の支援がない点について
では、まず先述した問題点①養子縁組した家庭には公的支援がなされないという点については、どのように解決できるだろうか。この点については縁組後の支援を、児童相談所の業務であることを児童福祉法に明記するという方法が考えられる。社会的養護下の子どもを養育する以上、養子縁組家庭も家庭養護の現場といえ、児童相談所が関与すべきと考えられるからだ。また、この点に付随して、養子縁組が積極的に行われるよう養子縁組につないでいく業務についても児童相談所の業務として法律上明記することを提案する。
確かに、児童相談所運営指針において、「里親が委託されている子どもと養子縁組を希望する場合には、事情を十分調査した後援助方針会議で検討し、適当と判断される場合には必要な援助を行う。36 」や「養子縁組について家庭裁判所から調査等を嘱託された場合においては、児童福祉の観点から必要な協力を行う。37」など、児童相談所が養子縁組の援助等に関わることは記されている。
しかし、この事項は児童相談所運営指針第6章の“事業に係る留意事項”として明記されているだけであり、積極的な業務として位置付けられているとはいえない。今回、養子縁組を社会的養護の手段として位置付ける提言をする以上は、養子縁組につないでいく縁組後の支援について児童相談所が担うことを明記することが必要である。
そこで、養子縁組の前後、すなわち養子縁組あっせん事業と縁組後の支援については、児童福祉の分野であるとして業務として児童福祉法に明確にすべきである。このような形が実現できれば、家庭復帰の望めない子どもに新しい永続的な家庭環境を保障する手段が選択されやすくなるといえよう。
具体的方法としては、児童福祉法第11条1項2号にトを新設し、「養子縁組あっせん事業及び、養子縁組後の支援をすること」と明記することを提案する。38
35韓国には養子縁組に関する法律が2つあり、ひとつが民法で要検等について規定されている。もうひとつは「養子縁組促進および手続きに関する特例法」であり養子縁組の具体的な手続きや方法が規定されている。ドイツでは、「民法(BGB)」、「児童ならびに少年援助法(KJHG)」、そして「養子縁組斡旋法」の3つの法律によって養子制度が規整されている。
36
「児童相談所運営指針」第6章第4節2.(3)に記載。
37 「児童相談所運営指針」第6章第4節6.(1)において記載。
38 児童福祉法第11条以下引用 「都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
 一 前条第一項各号に掲げる市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供、市町村職員の研修その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと。
 二 児童及び妊産婦の福祉に関し、主として次に掲げる業務を行うこと。」
この次に掲げる事項として、「養子縁組あっせん事業及び、養子縁組後の支援をすること」を新設する。

(2)養親の基準、研修、手当金について
 次に、問題点②家庭養護を実現できる手段であるにもかかわらず、養子縁組希望里親には手当金も研修義務もない点についてはどうだろうか。
 この点については、なぜ養子縁組希望里親に手当金や研修義務が課されなかったのかという背景から検討したい。今回の児童福祉法改正39により、養育里親と養子縁組希望里親が明確に分けられ、対応も区別された。その背景には、里親に子どもを預ければ、子どもは養子縁組されてしまうといった概念を取り除きたいという政府の意向があったと思われる。すなわち、里親=養子縁組という概念をなくし、里親委託を増やしたいという考えである。このような背景により、養子縁組を希望する里親は明確に養育里親と分けられ、研修や手当金も支給されないといった状況になったのである。
 私たちは、養子縁組によって社会的養護の子どもが養育される点に着目し、養子縁組も家庭養護の実現手段であることを主張したい。確かに、養子縁組は里親と異なり、実親の下に子どもは帰らない制度である。しかし、家庭復帰が望めない子どもにとっては、新たな永続的家庭環境を得ることのできる手段として重要なのである。したがって、養子縁組も家庭復帰の望めない子どもの家庭養護実現の手段として考えるべきである。このように考えるのであれば、養子縁組希望里親にも、養親として適格者であるかを判断する基準設定や研修の義務化、手当金の制度を設けるべきではないか。
 養親としての基準設定や研修義務については、里親を参考にすべきと考える。児童相談所運営指針において、「児童相談所は養子縁組希望者等からの相談を受けた場合には、受理会議で検討し調査、認定等を行う。この場合には、原則として里親の場合に準ずる。」(児童相談所運営指針第6章第4節2.(1))として、里親の場合と同じとされていることからも、妥当であるといえる。
 手当金については、各国で対応が異なるため、比較して考察する。韓国では、養親に対する経済的支援措置を講じられており、養子縁組機関に支払う手続き費用を国が肩代わりしている。また障害児のみならず一般の養子を育てる養育費を毎月約一万円(障害児の場合は約五万円)子が十二歳になるまで支給されることになっている。一方、ドイツでは、里親養育を行っている家庭に対しては子の扶養料と里親手当の支給を受けることができるが、事前養育が開始された養子縁組希望者は子に対し扶養義務を負うためその支給はされない。その代わりに家族疾病保険や児童手当、住居手当などの社会給付請求権が発生する。
 今回の提案では、養子縁組里親については手当金を支給すべきであると考える。養子縁組里親も社会的養護の手段である以上は、養育里親と同様の待遇をすべきであるからだ。一方、縁組後に関しては、法律上親子となることから、手当金の支給はすべきでないと考える。もっとも、ドイツと同様社会給付請求権として児童手当などを付与することを提案する。
 まとめると、養子縁組希望里親に関しても里親同様、養親となる基準を設け、研修義務を課し、養子縁組を結ぶまで手当金を支給する制度にしたい。
 そして具体的な流れとしては、社会的養護の子どもを養子縁組したいと希望する者に、まず養子縁組希望里親に登録をしてもらい、マッチングをかねて、養子縁組を見越して子どもを委託する。このような形により、養子縁組里親、ひいては養子縁組を児童福祉の中に組み込むことを提案する。

3.民法に関する提言
最後に、民法において要保護児童のための養子縁組をより広く活用していくための改正を提言する。複数の点について言及するため、今回の論文では、個々の改正の提言について概要と理由にとどめる。

(1)私たちの考える養子縁組の形態
 先述したように、現行の養子縁組は縁組数の少なさから見ても、社会的養護の手段として積極的に機能しているとはいえない。さらに、日本の養子縁組の目的は子どもの福祉だけに限られない。このような現状の中で、私たちの提言する要保護児童のための養子縁組とは、どの養子縁組の形を原則とすべきか。
 本章の目的が、“家庭復帰の望めない子どもに広く活用される子どものための養子縁組”の提言にあることからすれば、私たちは“子どもの福祉を目的とする養子縁組”だけに焦点を絞りたい。子どもの福祉を目的とする養子縁組として、未成年普通養子縁組と特別養子縁組をともに活用するか、原則的に特別養子縁組を活用するか。どちらの形が望ましいか、前提として検討する。
 特別養子縁組は、子の保護を理念としている。その特徴は養子と実親その他の親族の法律上の親族関係が終了することにある。40そして原則的に離縁が許されず、家庭裁判所の審判により成立する。制度趣旨として、子どもの福祉・子どもの利益が示されている特別養子縁組は、諸外国における養子縁組に近い内容といえ、要保護児童のための養子縁組の活用に適している。そこで、子どもの福祉のために活用する養子縁組としては、特別養子縁組がふさわしいと考える。
 もっとも、現行制度における特別養子縁組は、養子となる子の年齢が6歳未満と限られていること、父母の同意を重要視する要件の重さ、父母の同意の撤回問題、審判の基準が厳格であるなど、広く活用するにあたって問題もある。
 そこで、本章にあたっては特別養子縁組をより広く要保護児童のために活用できるよう、特別養子縁組の要件緩和を提案したい。加えて、子どもの意思の反映や実親との交流(オープンアドプション)などの提言も加え、子どもの視点から子どもの福祉にかなう養子縁組制度を提言する。

 (2)提案①「子の利益」のためであることを民法上明確にする―特養の条文(817条の7)で明確にする。
 本章の提言では、“家庭復帰の望めない子どもに広く活用される子どものための養子縁組”がキーワードであることから、まず特別養子縁組が子どもの福祉のための制度であることを条文上明確にしたい。
 現行制度では、817条の7で子の利益のための特別の必要性を要件とする条文があるが、特別養子縁組制度の制度趣旨を示す条文はないからである。

(3)提案②養子となる者の年齢引き上げ―6歳から15~18歳に引き上げ(817条の5)。
 先述したように、特別養子縁組を社会的養護の子どものための制度として活用していくならば、特別養子縁組を利用できる子どもの範囲を広げることが必要である。現行制度においては、原則6歳未満の子どもに限定し、6歳前から養親となる者の監護を受けている場合には8歳に達するまで許される(817条の5)。このような規定となった背景には、就学年齢前に縁組の申立をすることが望ましいとされたことにある。
 特別養子縁組の活用にあたっては、6歳未満に限定しなければ理由があるのだろうか。たとえ6歳又は8歳を超えていても、要保護児童が特別養子縁組を活用したい場面がありうるのではないだろうか。未成年の要保護児童が必要に応じて活用できる制度とするためにも、養子となる者の年齢は引き上げるべきではないか。
 比較法的には、より高い年齢まで子どものための養子縁組を認める国が少なくない。韓国では、2008年に養子となる子の年齢としては、普通養子は規定がないが親養子は15歳未満の子と定められた。ドイツでも、養子となる子は18歳未満(未成年)であることが基本となっている。フランスでは、原則として15歳、イタリアでは18歳まで可能とされている。41
 日本においても、特別養子縁組がより高い年齢の子どもにとっても必要であれば用いられる制度となるよう、養子となる者の年齢を引き上げるべきである。児童福祉法において児童と扱われるのは18歳までであることから、子どものための養子縁組としての可能年齢は18歳まで引き上げたいと考える。
39 2008年になされた要保護児童に関する社会的養護体制の拡充を図ること等を目的のひとつとした児童福祉法改正。
40
民法817条の9第1項「養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。」
41 参照:床谷文雄「特集家族法改正―離婚・親子法を中心に 養子法」:『ジュリスト』有斐閣 2009年9月01号 41頁以降

(4)提案③子どもの意見の反映させる―12歳(仮)以上の子どもが縁組する場合には同意or意見の聴聞を要するとする(新設)
 本章の提言は “家庭復帰の望めない子どもに広く活用される子どものための養子縁組”を充実させることにある。そして、特別養子縁組の活用の範囲を広めるため、養子となる子の年齢を18歳まで引き上げることを提案した。養子となる子の年齢が最大18歳であるのであるならば、子どもの利益にかなう縁組とするために、一定の年齢からは子どもの意思を尊重すべきである。現行制度の6歳未満の場合には、子どもが自己の意思を明確に表すことが困難といえる。しかし、特別養子縁組の可能年齢を18歳まで引き上げる場合には、自己の意思を明確に表すことができる年齢といえる。
ドイツでも、縁組成立要件として子の同意と実親の同意が必要とされている。ただし、子が行為無能力もしくは14歳未満であるときには法定代理人が同意を与えるとされている。
 そこで、一定の年齢以降の特別養子縁組にあたっては、子どもの同意や子どもの意思の聴聞を要するとの要件を課すことを考える。すなわち、父母の同意以外に養子となる者本人の同意もしくは意思の確認を要するというものだ。養子となる子どもは養子縁組の当事者であることから、年齢の低い子どもであっても意思の聴聞を要することを法律上明記すべきである。また、年齢の高い子どもについては、同意を課すこととする。
 同意を課す年齢は、何歳が適切であるか。普通養子縁組においては、15歳未満の場合に代諾養子縁組がなされている。42すなわち、15歳を超えた場合には自己の意思で普通養子縁組をなしうる。そこで、特別養子縁組においても、15歳以上の子どもについては、同意を要件とすべきと考える。
 そして、15歳未満の子どもについては、子どもの意思の聴聞の機会を設けることを条文上明記することとする。
 具体的な方法としては、817条の5に2項を新設43し、「養子となる者が15歳に達している場合は、その同意を得なければならない。養子となる者が15歳に達していない場合には、子どもの意思の聴聞の機会を設けなければならない。」と明記する。

(5)提案④817条の7の「特に」の削除―特別養子縁組を広く活用するために要件を緩和する
 現行制度では、817条の7において「①父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であること②その他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があると認めるとき」という要件が課されている。
 捨て子や里子の場合には「①父母による監護が著しく困難または不適当」と認定されることが多い。子を養育するする意思が明確にない場合には「②その他特別の事情がある場合において子の利益のために特に必要がある場合」と認定される。実親が養育の意思を有している場合には虐待や著しく偏った養育をしているなどの事情が必要とされた判例もある(東京高決平成14年12月16日)44
 「特に」という文言があり、このように厳格に判断されていたのは、特別養子縁組が普通養子縁組に比べ、実親との法的関係が終了する効果や原則的に離縁できないという効果など生じる効果が重い制度であったからと考えられる。
 とりわけ②の要件は厳格に考えられていた。父母の一方が養育を継続している場合においては、他の一方の不当な干渉が具体化していなければ認められないとする家庭裁判所の審判もあるからだ。(徳島家審平成1年11月17日)
 もっとも、同事案の高等裁判所の判断では、②の特別な事情とは、「特別養子縁組を成立させ、父母及びその血族との間の親族関係を原則として終了させることが子の利益のために特に必要と判断される事情も含む」と解され、同事案で②の要件を満たすとした。(東京高決平成8年11月20日)また、実母が子連れで再婚し、実父が認知もせず無関心で将来的にも関与しないと推測されるケースにおいて、特別の事情を認めた事例もある。(名古屋高決平成15年11月14日)
 したがって②の要件は緩和されていると考えられる。
 この判断と同じように、817条の7の要件を緩和して、広く認めていくべきである。そして、“社会的養護の子どものための養子縁組”として広く特別養子縁組を活用していくならば、条文上も「特に」という文言を削除し、要件を緩和するべきである。
42 民法797条第1項「養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
43 民法817条の5は“養子となる者の年齢”を規定している。この条文に第2項を新設し、規定する。
44 参照:二宮周平『家族法』第3版 特別養子縁組の頁

 (6)提案⑤父母の同意権濫用問題への対処―実親が正当な理由なく、拒否する場合には同意を代行するケースへの対処(817条の6)
 現行制度では、817条の6で特別養子縁組の成立につき実父母の同意を要件としている。父母の一方が死亡しているときは、生存している一方の同意で足りるとされ、婚外子について父が認知していない場合は、法律上の父がいないため母の同意で足りるとされる。また、所在不明や心神喪失などで意思表示ができない場合や、父母による虐待・悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する自由がある場合には同意を不要としている。45
 アメリカでは、実親が養子縁組に同意しない場合でも、裁判所が父母を親として適切ではないと認定すれば、その同意を不要とすることができるとされる(MGL 210.3)。親の不適切性の判断基準としては、子どもが捨て子である場合、親が特に深刻な虐待をした場合、子どもをフォスターケアに預け続け、子ども家庭局からサービスの提供をされたにもかかわらず虐待に至った原因を解決できなかった場合などが挙げられている(MGL 210.3(C))
 日本においても、アメリカのように具体的な判断基準を明確にし、実親が正当な理由なく、特別養子縁組に同意しない場合に同意を不要となる範囲を緩和すべきである。子どもの要保護性が高いケースであるならば、実親の同意の要件を緩和することが必要であるからである。

(7)提案⑥父母の同意撤回問題への対処―同意撤回の期間制限(817条の6)
 現行法上、父母の同意は特別養子縁組の成立審判後であっても、審判が確定するまでは撤回することができる。46審判前に父母の同意が撤回されたときは同意を不要とする事由があるか否か検討し、そのような事由があれば、なお特別養子縁組は成立する。
父母の同意撤回を自由に認めることは、特別養子縁組の手続きを不安定にし、子の利益を害するとして、批判も強い。
 韓国では、縁組同意の撤回は普通養子の場合は縁組届の受理後は不可とされ、親養子は成立審判後14日間までは可能とされる。ドイツでは、実親もしくは代理人の同意の撤回はできないが、子の同意は養子縁組判決が効力を生じる前ならばいつでも撤回できるとされる。
 日本においては父母の同意が不当に撤回されたケースにおいては、権利濫用として撤回を無効とする審判や、撤回は無効ではないが、「その他養子となる者の利益を著しく害する事由があるとして、同意なしの縁組を成立させたものもある(福岡高決平成3年12月27日)父母の撤回が不当であるケースの縁組の効果を裁判で争われた場合には、817条の6における父母の同意を不要とする事由にあたるかによって判断がなされているのである。47
 裁判で縁組の効果を争うことになれば、裁判所の判断がなされるまで子どもの恒久的な環境が保障されないこととなり妥当でない。そこで、日本においても同意の撤回ができる期間に制限を設けるべきである。撤回できる期間については、父母の同意が正式になされてから2~3カ月以内と考える。2~3カ月を超えた後は撤回不能とする以上、父母の同意をとる際に、十分は説明をし、正式な書面等で同意をすべきである。
 具体的には、817条の6に2項を新設し48、「父母の同意は同意をした3カ月を経過した後は、その同意を撤回することができない」と明記すべきである。
45 民法817条の6「特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。」
46 同意の撤回を理由として即時抗告をして、審判の取消しを求めることができる(参照:床谷文雄「特集家族法改正―離婚・親子法を中心に 養子法」:『ジュリスト』有斐閣 2009年9月01号 41頁)
47 参照:二宮周平『家族法』第3版 特別養子縁組の頁
48 民法817条の6は“父母の同意”の条文。この条文に第2項を新設する。

(8)提案⑦実親の面会交流等の制度―子どもの福祉にかなう場合は行うとするオープンアドプション制度(新設)
 現行制度においては、特別養子縁組が成立した場合、実親との縁は切れるに等しく、実親との面会交流は不要とも思われる。しかし、特別養子縁組の要件を緩和し、広く活用される制度とするには、希望すれば実親との交流が保障されることも必要なのではないか。すなわち、実親と絶縁することへの躊躇により、特別養子縁組を利用しないというケースをなくしたい。子どものニーズに即した養子縁組がなされるように、実親との面会交流を希望すれば保障できる形を提案する。
 この取り組みはアメリカにおいて実践されていることから、アメリカの取り組みについて考察する。オープンアドプションとは、縁組後も実親との交流が続く養子縁組形態である。具体的には、縁組の成立前から実親と養親候補者が交流を持ち、縁組成立後も、あっせん機関などを通して、あるいは直接に手紙や電話によるやり取りをしたり、お互いに訪問する機会を持ったりする。このように縁組後も子どもが実親との交流を持つことによって、子ども自身には、生みの親に捨てられたという喪失感や自己否定感、出自が分からないことによるアイデンティティ形成の困難を回避できるというメリットがあるといわれる。
 オープンな養子縁組に関しては、各州によって、その規定の有無、また規定の仕方も異なっている。マサチューセッツ州法では、養親と実親は、縁組成立前に、縁組後の交流について合意できると定められている。したがって、この合意は、養親と実親の私的な契約によるものである。ただ、合意が裁判所で承認された場合、実親および養親はその履行強制を申し立てる権利を持つ(MGL 210 6D)。
 今回の提言では、このオープンアドプションを条文上新設することはしないが、養子縁組の取り組みのひとつとして、取り入れることを希望する。

4.総括
 以上のように、本章においては、“家庭復帰の望めない子どもに広く活用される子どものための養子縁組”を実現すべく、児童福祉法・民法につき提言を行った。
 児童福祉法においては、養子縁組に前後する業務を児童相談所の業務であることを明確にする点、養親となる者の基準や研修の義務付け、ならびに手当金の支給の点について言及した。
 民法においては、子どものための養子縁組として特別養子縁組を焦点とし、条文上特別養子縁組の目的を明らかにする点、養子となる者の年齢の引き上げの点、子どもの意思の尊重の点、特別養子縁組の要件緩和の点、父母の同意の撤回期間制限の点、オープンアドプションの点について言及した。
 今回は現行制度を維持したままの提言となったが、いずれは特例法によって養子斡旋法を制定することが望ましい。そして、今回の提言にあたって、日本における特別養子縁組が社会的養護の手段であることを改めて主張したい。養子縁組は家庭復帰できない子どもが新たな恒久的家庭環境で安心して過ごすための手段なのである。そのことを、社会的にも法律的にも明らかにすることで、社会的養護を充実したいと考える。
 次章においては、韓国・ドイツ・アメリカの養子縁組について考察し、参考としたい。

第3章 諸外国の養子縁組制度 このページのトップへ
 第2章では、日本の養子縁組の問題点をふまえて、その解決策として養子縁組を社会的養護として位置付けること及びそのために必要な改正案を提言した。本章では、第2章で参考とされている主な国(韓国、ドイツ、アメリカ)の養子縁組制度を概観していく。

1.韓国
(1)比較にあたって(養子縁組の動向)
 韓国に養子縁組そのものは古くからあったが、制度として大きく発展したのは第二次世界大戦・朝鮮戦争後の混乱時、混血孤児の処遇先として海外に住む国際結婚している夫婦に養子縁組させたことがきっかけである。1961年に養子縁組法として「孤児養子縁組特例法」が制定され、これが1976年に国内養子縁組を含む現在の法律に発展した。
 韓国では儒教文化の影響で血縁関係を重視すること、また父系社会で未婚の母が単独で子どもと戸籍を作ることを望まないという習慣があるため、長いあいだ養子縁組を秘密にしてきた。秘密が保持される生後2,3か月の乳児を民間の養子縁組斡旋機関が紹介し、出生届けは養親の戸籍に入れる、実子としての届出が可能であり、また国内で養親が見つかりにくい子どもは積極的に海外養子に出していた。1991年に「国連子どもの権利条約」に批准し子どもの権利委員会の勧告を受け、国内の要保護児童の処遇改善に積極的に取り組むようになった。それまでは大人の都合で行われていた養子縁組を子どもの福祉のために運用する制度にし、国内養子縁組の優先、更に家庭的養護が施設養護よりも望ましいとの考え方が広まった。1990年に、家庭委託事業がソウル、釜山、大田の3箇所の社会福祉事務所がモデル事業として実施されて以来、2003年までに17箇所の家庭委託支援センターが設置された。そして2004年に中央家庭委託支援センターが設置され、その中心的な役割を果たすようになった。家庭委託される児童の数は年々増加の一途をたどっており、2007年現在でほぼ半数にまでのぼりつめた。(図6参照)現在韓国は、家庭委託保護事業を利用する委託家庭、委託児童の必要性に則したプログラムの開発と、児童の観点で児童の利益を最優先とする家庭委託保護を、発展させようと努力している。49
49 日韓フォスターケア(里親)フォーラム2008資料 http://www.geocities.jp/hokukaido/jkforum/t-resume/t-0shidai.htm

(2)養子制度の法的位置付け
韓国には養子縁組に関する法律が2つあり、ひとつが民法866条から908条に定められている普通養子制度と親養子制度である。これは日本法でいう普通養子と特別養子と似通った制度であり、要件等について規定されている。もうひとつが「養子縁組促進および手続きに関する特例法」(以下「特例法」)であり養子縁組の具体的な手続きや方法が規定されている。韓国の養子縁組は実際この「特例法」に基づいて運営されている。

(3) 養子制度の概要
 普通養子は契約型であり、実親または他の直系尊属の同意が必要で、それがいない場合は家庭法院(家庭裁判所)の許可を得た後見人の同意を得なければならない。また、15歳未満の子の場合は法定代理人が代わって承諾をする。家庭法院による縁組の許可は被後見人との縁組の場合を除き、不要である。実親との関係は維持され、養子となる子は養親の戸籍に入り養親と同じ姓を名乗ることはできても、戸籍上は養子としての身分が記載される。
 親養子は2008年から施行されたもので官庁宣告方式を取っており、家庭法院の審判によって成立し、実親の同意が成立要件となっている。子どもと実親との関係は断絶され、縁組後子どもは養親と同じ戸籍に入り、戸籍上では養子であるという表記はなくなる。
 養子となる子の年齢としては、普通養子は規定がないが親養子は15歳未満の子と定められている。子の意思に基づく縁組成立は認められていない。なお、縁組同意の撤回は、普通養子の場合は縁組届の受理後は不可とされ、親養子は成立審判後14日間までは可能とされる。離縁は、普通養子の場合は一年以内であれば養親側から養子縁組の解消ができ、親養子の場合は原則的には認められないが親子関係を継続することが著しく困難であるときには家庭法院に申し立て、離縁後子どもと実親の関係は復活することになる。

(4)養子縁組成立までの流れ
 養子縁組の中央当局である保健福祉部の許可を受けた社会福祉法人が、養子縁組機関として実際の斡旋事業を行っている。法人の運営費は自治体からの補助金で賄われており、一部を人件費に充てている。養子縁組機関は、独自にマスコミを通じて広報活動を行い、実親からの要請により養子縁組斡旋を行う。「特例法」第18条に「保健福祉部長官、市・道知事または市長・郡守・区長は、養子縁組機関を運営する者に対し、所管業務に関して必要な指導・監督をする」と定められており、保健福祉部は必要な場合は業務の報告、書類の提出を命じ、所属の公務員が養子縁組機関の事務所または施設に出入り調査をすることができる。調査の結果、施設が基準に達しない場合や養子縁組を依頼したものの利益を害する場合は、養子縁組機関の活動許可を取り消すこともできる。
 1999年に4つの代表的な養子縁組機関が一体となって設立したGAIPS(グローバル養子縁組情報・事後管理サービス Global Adoption Information & Post Service Center)が養子候補児の登録管理を全国的に行うようになり、2005年にスポンサーの機関から独立し韓国政府の委託を受けて養子縁組の管理を行っている。年間約5000ケースをそれぞれの養子縁組機関から受け付け、登録をしており、登録が済むとGナンバーが個々のケースに記され、各機関で養親を探すプロセスに進む。養親候補者は機関ごとに認定されているため、一つの機関で適当な養親候補が見つからない場合に他機関の養親を紹介することはまだ現実化されていない。養親候補者の共有化や、養子が実親を探して連絡を取る、あるいは実親が養子に出した子どもの行方を探すなどのことは将来的に可能になる予定である。50
 韓国では国内養子縁組を推進するために、養親に対する経済的支援措置を講じている。養子縁組機関に支払う手続き費用を国が肩代わりし、また障害児のみならず一般の養子を育てる養育費を毎月約一万円(障害児の場合は約五万円)子が十二歳になるまで支給されることになった。こうして一般の特に裕福でもない夫婦が養子縁組しやすい環境になり、経済的な要件はあまり問われなくなっている。なお、里親の場合は里親手当が子ども一人につき月約一万円以上、生計、医療、教育などについて各支援を受けることができるとされている。51
50 平田美智子・湯沢雍彦、『要保護児童養子斡旋の国際比較』日本加除出版株式会社、2007年、270頁
51 韓国の家庭委託保護制度(里親制度)の概要 アジア子どもの権利と里子養育会議2006イン・ソウル(第1回アジア里親大会) http://www.geocities.jp/hokukaido/satooya/seoul2006/korea-fcare-murata.htm
 養子縁組を希望する夫婦は、それぞれの養子縁組機関に申し込みをする。通常、ソーシャルワーカーが家庭訪問を含めた家庭調査を行い、養親候補者のリストに夫婦を載せる。「養子縁組機関の長は、養親になる者に養子縁組前に児童養育に関する教育を実施しなければならず、養子縁組成立後には、保健福祉部令が定めるところにより、養子縁組児童及びそれに関する記録等を養親又は養親になる者に引き渡し、その結果を市長・郡守・区庁長に報告しなければならない」と「特例法」第12条4項に定められており、養親候補者は講義やディスカッションといった研修を受講しなければならない。養子候補者と養親候補者のマッチングは通常同じ機関内で行われる。以前は、生後間もない乳児が海外の養親とマッチングされることが多々あったが、2007年より年齢が高い子や医療的問題や障害などによって国内ではなかなか養親が見つかりにくい子どもはまず5ヵ月間は国内で養親候補者を探すことになった。韓国では、乳児の養育には1対1の関係が必要であるとして実親から預かった乳児を乳児院で養育するのではなく里親家庭に養親候補者が見つかるまで養育してもらうという手段をとっている。
 韓国では、韓国フォスターケア協会(韓国里親会)が、「自分の家庭で適切な保護を受けられない子どもを、一時的に健全な家庭に委託して、家庭的な雰囲気の中で成長できるようにすることにより、社会的単位としての家族の機能の維持を助長し、この社会の子どもの福祉と権利の向上を図ることを目的」として設立された。これは1999年に保健福祉部の認可を受けた非営利社団法人であり、父母の疾病、離婚、失業、倒産、虐待等のために放置され、保護が必要な児童に家庭委託を行う、ボランティアの家庭委託機関である。主な活動内容は委託家庭の発掘、里親研修、事後指導、家庭委託事業の広報、家族の再統合運動、ボランティアグル―プ運営の活性化などである。韓国における里親委託業務の流れは、図7にわかりやすくまとめてある。(図7参照)

 韓国では民間機関が主導になって養子縁組を支えている。これらの民間機関は、第二次世界大戦後に孤児となった子どもを救済するボランティア活動やアメリカでの活動からスタートし、アメリカのケースワークを取り入れることでアメリカの専門的養子縁組斡旋活動を今日まで続けてきている。海外の養子縁組機関と強い連携を保ちつつ、国の政策である国内養子縁組優先の原則を守ろうと実践を行ってきた。このような民間の養子縁組機関が活動する利点は、予期せぬ妊娠に悩む未婚の女性が福祉事務所などの行政のサービスを頼らずに子どもを出産し、養子縁組に出せるという利便性である。子どもは未婚の母という不安定な家庭環境でなく、安定した養親過程で養育されるので、子どもの福祉を考えても好ましい制度であるかもしれない。一方、安易に子どもを養子に出せる制度があることは、未婚の母が親族の支援や社会保障制度を利用しながら、ひとり親として子どもを育てていく母子福祉施策が未整備になるという弊害がある52。また実親、とりわけ実父の無責任な行動を助長させることにもなりかねない。養子縁組に出される理由の90%が未婚の母によるものであることを考えると、性教育を含めた啓蒙活動を若者に行い、望まない妊娠を予防することが先決ではないかという考えもある。養子縁組機関の中には、予防策を含めたティーンエイジャーへの性教育、未婚の母と子どもへの支援などを行う動きも出てきている。
52 MINSAN 財日本大韓民国民団 http://www.mindan.org/index.php

2.ドイツ

(1)比較にあたって(養子縁組の動向)
 ドイツでは近年、ほかの西欧諸国と同じように養子縁組数が減少傾向にある。その背景には、ピルの服用が広く浸透し避妊が以前より確実になってきたこと、人々の意識が変化し、婚姻外の同棲や事実婚は当たり前と受け止め、未婚で子どもを出産することへの偏見が少なくなってきたことなど、人々のライフスタイルの変化や意識の変化が挙げられる。
 ドイツでは養子縁組斡旋は少年援助の重要な一領域であると認識されており、養子縁組斡旋法第2条1項で「斡旋は少年局と州少年局の任務である」と規定するなど児童の福祉を保護するために国家が行う重要かつ専門的な給付、と位置付けられている。養子縁組という手段は、財産継承のための手段という使われ方から子どもの福祉のための手段へと移り変わったのである。子どもを養育する環境として、施設で養育されるよりも家庭的環境で育てるべきだという考え方も広まり、2007年現在で40%強の要保護児童が家庭的環境下で保護されている。(図8参照)

(2)養子縁組の法的位置付け
 「民法(BGB)」、「児童ならびに少年援助法(KJHG)53」、そして「養子縁組斡旋法」の3つの法律によって養子制度が規整されている。つまり、養子制度が福祉制度として位置付けられているのである。
現行法成立までの流れを略記する。1900年、民法が施行されたが、この中にすでに養子縁組制度も含まれていた。しかし、これは家のため、親のための性格を持つものであった。1976年、民法の養子法が改正され、これまでの家のための養子制度は、『子のための養子制度』への転換を果たした。これに伴い、養子縁組斡旋法も同様の理念を持ったものへと改められた。その結果、許可なく斡旋を行った者への罰則規定が設けられるなど、より慎重な斡旋が求められるようになった。1989年になると再び養子法が改正され、禁止行為が拡大された。2002年には、ドイツのハーグ国際養子条約批准の影響を受けて改正された。
 KJHGについてざっと説明を加えておく。KJHGは、地方自治体が担うとされている。子どもをなるべく実親家庭にとどめることが最も子の福祉にかなうという理念の下、運営されている54。そのため、少年局は、親子分離の予防策と親の教育能力を高めるためのきめ細やかなサービスを行っている。援助計画の策定を求めるKJHG36条は、「自己の家庭以外の場所で長期にわたって行われる援助の前および期間中は、養子縁組が考慮されるかどうかが検討されなければならない。」としている。ここから、KJHGが、子の福祉を確保するために福祉的に講じられるべき対応の優先順位として、第一に実親によるこの教育、第二に養子縁組、そして第三に教育援助と位置付けていることが分かる。これは、パーマネンシー・プランニングの観点によるものである。
(3)養子制度の概要
 子および実親からの同意を得るまでの段階は養子縁組斡旋法やKJHGが規整し、同意を得るところから民法が規整するという仕組みになっている。
 養子となる子は18歳未満(未成年)であることが基本となっていて、例外として成年養子も認められている55。未成年養子、成年養子ともに官庁宣言方式を取っていて、縁組成立要件として子の同意と実親の同意が必要とされている。ただし、子が行為無能力もしくは14歳未満であるときには法定代理人が同意を与える。実親もしくは代理人の同意の撤回はできないが、子の同意は養子縁組判決が効力を生じる前ならばいつでも撤回できる。法的効果は、完全養子であるから、子と実親との法的関係は断絶する。
 また、ドイツでは裁判所による同意補充制度も設けられている(BGB 1748条)56。これは、自分では子どもを育てる能力、あるいは意思がなく、子どもは新たな養子縁組家庭で養育することが子の福祉にかなうにもかかわらず、実親が養子縁組に同意しない場合、実親の同意を裁判所が代わりに行うという制度である57。BGB1748条では、基本的に次の4つの要件のいずれかに場合に、同意補充が行われることになる。「持続的に著しい義務違反」(1項1文)、「特に重大な義務違反」(1項2文)、「無関心」(1項1文・2項)、「特に重大な精神障害」(3項)の4つである58。ドイツでは、これらの実親の同意に関する「熟慮期間」、「撤回制限」、「同意補充制度」によって、実親の権利濫用による子どもの養子縁組成立の妨げを未然に防いでいるのである。
53 日本の「児童福祉法」と同様の性格をもつ法律
54 「ドイツの里親制度―児童虐待との関連から―」
55 倫理的に正当な場合(すでに親子関係が存在しているとき)認められる。
56 「福祉制度としての養子制度」
57 「諸外国の養子縁組斡旋制度とその実態 ドイツの養子縁組斡旋事業の制度と実態」
58 「福祉制度としての養子制度」

(4)養子縁組成立までの流れ
 養子縁組斡旋法による斡旋とは、第1条に「18歳以下の子と、養子を迎えたいと願う者とを引き合わせること」であると明文され、子が出生前であっても、たとえまだ懐胎されていなくても、子どもと養子縁組したり縁組させたりする機会を仲介することも斡旋にあたる。
 前述したように、未成年養子縁組斡旋は少年援助の領域に含まれ、公的少年援助機関である少年局および州少年局の任務とされている。少年局は郡、あるいは郡に属さない大都市である地方自治体が少年援助の任務を行わせるために設置する専門行政機関である。これらの上級機関として州レベルでは州少年局が設置され、少年局の任務の遂行を補充し、各少年局間の調整を行う。これらの他に、一定の要件を満たし承認された民間機関も養子縁組の斡旋を行うことができる。州少年局は中央養子縁組機関を設立することが定められている。これは旧規定では設立は義務ではなかったが、2002年の斡旋法の改正により、義務化されたものである。州少年局の中央養子縁組機関が設置される意義と目的は、地域少年局や民間の養子縁組斡旋機関への多方面の専門分野にまたがった助言と支援にある。地域の養子縁組機関は独自に斡旋することが許されているので、この領域での州少年局の任務は特に斡旋が困難な子どもたちがより多く斡旋されるように、そしてその斡旋がより成功するように専門的助言をすることである。斡旋困難な子どもなど必要な場合は地域を超えたマッチングや斡旋機関同士の調整も担当する。養子縁組斡旋業務に従事できるのは、人格と専門教育と職業経験に基づいて斡旋業務に適した専門職のみであり、ここでいう人格とはハーグ国際養子縁組条約第11条bの倫理規定に対応したもので2002年の改正で追加された要件である。斡旋機関は最低二人のフルタイムの専門職か、それに相当する数のパートタイムの専門職を揃えることを第3条で定められている。
 2005年には民間の斡旋機関としての承認を求める申立てに必要な9種類の書類が規則で定められた。その9種類とは、担体の定款、法人もしくは結社の登記簿の摘要、予算案、担体の財政状態の説明書、養子縁組斡旋一件あたりの平均的費用の見積もり、公益性に関する仮保証書、相談と斡旋についての計画の説明書、斡旋機関の専門職の人格的および専門的適格性の証明書など人的構成の説明書、専門職と担体代表者の無犯罪証明書である。これだけ細かく定められたことにより、しっかりと組織として確立している民間機関のみが斡旋事業に携わることができるようになった。1999年現在で民間機関は国内に70ヶ所あり、すべての斡旋機関はパートナー関係にあり、互いに協力する義務を負っている。原則として、上記機関以外の者が養子縁組斡旋に従事することは禁止されているが、例外的に認められているケースもある。縁組希望者または養子となる子と3親等までの親族の斡旋、無料で斡旋や縁組をした者が遅滞なく斡旋機関か少年局に届出をした場合である。59
 養子縁組斡旋のプロセスとしては、基本的に以下の流れに沿って執り行われる。(図9参照)この図を見ると、ドイツでは養子縁組斡旋法、BGB、KJHGがそれぞれの分野で機能し、互いに連携を取って養子縁組成立まで動いていることが分かる。
 養子縁組を希望する実親は斡旋機関により養子縁組手続きとその効果について説明され、長期的に見て他の選択肢の可能性がないか考慮するための情報を提供される。養子縁組の法的効果、家族にとっての重要性、もし養子縁組が行われるとしたら将来どのような支援が提供されるのかなどについての情報は書面にして実親に渡さなければならないとされている。
 斡旋機関は養子縁組が考慮される子の存在を知ると、適当なマッチングのために養子縁組希望者、子とその家族についての専門的調査を始める。養子縁組希望者から申し込みがあると、その者と面談をし、法的縁組能力を確認する民法上は単身者でも養親となれるが、実際の斡旋では夫婦を原則としている。養親希望者はドイツ民法第1744条に基づき、事前養育を通常1年間行う。乳幼児の場合は新しい家族への順応がさほど困難ではないためそれより短い期間もあり得る。この事前養育は民法に具体的な期間の明示はなく、「縁組は原則として養親となるものが子を適切な期間養育したときに初めて宣告されるものとする」とされ、個別事例による。
 里親養育を行っている家庭は、子の扶養料と里親手当の支給を受けることができるが、事前養育が開始された養子縁組希望者は子に対し扶養義務を負うためその支給はされない。その代わりに家族疾病保険や児童手当、住居手当などの社会給付請求権が発生する。養育費が支給されない理由としては、養子縁組が成立するとどういう状態になるのかということを、その経済的負担の点でも可能な限り現実的に体験するためにとられている方策であるという。
 養子縁組成立後のアフターケアとしては、助言や協力体制だけでなく「締約国の権限ある当局は、子の出自、実親の身元、子と家族の病歴に関する記録の保持に配慮し、関係国のほうが許す限り、子またはその法手代理人が適切な指導の下に記録にアクセスできることを保証する」こととするハーグ条約第30条に対応して、斡旋法では子の出生から60年間の斡旋記録の保持とアクセスについての原則が定められている。この原則は、国内養子縁組にも重要な意義を持つために養子縁組斡旋の一般的な義務規定とされた。また、養子縁組後も実親との交流を実現させようとする考え方が提唱されているが、現段階では具体的に実現はされていない。

3.アメリカ
(1)比較にあたって(フォスターケアの実態)
 アメリカでは、日本でいう「社会的養護」のことを「フォスターケア」と呼ぶ。
全米では、毎週、約5万人の子どもが新たに児童福祉機関の要保護の対象となる60。毎年9月30日現在にフォスターケアを受けている子どもの数は、1999年をピークに徐々に減少する傾向にあり、2009年は423,773人となっている(図10参照)。ここで、日本と大きく異なるのは、フォスターケアに措置されている子どもの多くが、施設ではなく、里親家庭に措置されていることである61。また、2005年にフォスターケアを退出した子どもの退出理由は、「再統合」が64,9%、「養子縁組」が13,9%、「後見」が7,8%、「その他」が13,4%であった。
59 高橋由紀子・湯沢雍彦、『要保護児童養子斡旋の国際比較』日本加除出版株式会社、2007年、185頁
60 ピーター・J・ペコラ「特別講演:アメリカにおける21世紀の里親家庭養育―永遠のわが家を求める子どもを支援するチャレンジと好機」『新しい家族』54号、2011年、73頁
61 2000年の統計では、76.7%が里親家庭に措置されている。(同上74頁)

(2)養子縁組の法的位置付け
 アメリカにおける養子制度は、連邦法によって規整されている。「養子縁組・家族安全法」(Adoption and Safe Families Act –以下、ASFAと略す)である。ここで、養子縁組は子どものための福祉制度であると位置づけられている。この法律に基づき、各州がそれぞれ養子縁組法を制定、運営している。そのため、養子縁組制度は州によって少しずつ異なっている。そこで、本稿では、マサチューセッツ州を例にとり検討していくことにする。
 1980年に「養子縁組・児童福祉法」(The Adoption Assistance and Child Welfare Act-以下、AACWAと略す)が成立した。この連邦法には、「パーマネンシー・プランニング」の概念が盛り込まれ、子どもは可能な限り実親家庭で養育されるのが望ましいとし、まずは家庭維持を優先することが明記された。この法律により、各州には、家族再統合を短期間(18か月以内)で推し進めるための努力義務が課された。
 1997年には、AACWAをさらに強化した、ASFAが成立した。これにより、家族再統合の期間が短縮され、12か月以内となった。
 では、ASFAを受けたマサチューセッツ州の養子縁組法はどのようなものか。
 マサチューセッツ州では、マサチューセッツ州法典(Massachusetts General Law-以下、MGLとする)によって養子縁組の要件、効果等が、また、それに加えて、マサチューセッツ州行政規則第110編(Code of Massachusetts Regulations, Title 110-以下、110 CMRとする)により、民間の養子縁組あっせん機関のライセンス基準、あっせんに関するルールが定められている。

(3)養子縁組の概要(マサチューセッツ州)
 成立方式は、国家宣言型で、養子縁組は裁判所の命令によって成立する。未成年養子、成年養子ともに認められ、効果は完全養子制であるから、実親子関係は断絶することになる。ただし、前章で述べたように、養親と実親は、縁組成立前に、縁組後の交流について合意することができる。この点については、(5)で詳述する。
 未成年者の養子縁組には、実父母の同意が必要である(MGL 210.2)。この同意は、子どもの出生後4日までの間は行うことができない(MGL 210.2)。出産直後の精神的に余裕がなく不安定な時期には、実の子どもの養子縁組への同意という重要決定を避け、実親の慎重な判断を促す趣旨である。しかし、いったん適法になされた同意は撤回することができなくなる(MGL 210.2)。
 実親が養子縁組に同意しない場合でも、裁判所は、父母が親として適切ではないことを認定すれば、その同意を不要とすることができる(MGL 210.3)。親の不適切性の判断基準は、前章3.(6)で述べたとおりである(MGL 210.3(C))62
 養親になる者は、原則として成人年齢である18歳以上でなければならない。養親となる者が婚姻中の場合には、原則として夫婦共同縁組でなければならないが、独身者の場合は単身で養親となることができる(MGL 210.1)。また、結婚していない同性愛カップルがそろって養親となれるかについては、明文の規定はないものの、マサチューセッツ州最高裁の判決により、同性愛カップルは養子縁組の共同申立て(Joint petition)をすることができると判示されている63

(4)養子縁組成立までの流れ
ア. サービスプランと里親委託
 マサチューセッツ州では、フォスターケアは里親によるものを原則とし、施設への委託は、子どもの特別のケア・治療・教育のために特に必要であり、それが子どもの最善の利益になる場合のみ許容される64と規定されており、要保護児童に福祉的に講じられるべき措置として、施設よりも里親が優先されることが法律上明確にされている。そして、里親は、公的な養育者として、里親手当や子どもの医療費の給付を受けることができる。
アメリカでは、子どもの里親家庭への措置も里親家庭の募集も、公的機関と民間団体の両方によって行われている。
 子ども家庭局は、緊急の場合を除き、子どもを里親に委託する前に、「サービスプラン」を作成しなければならない(110 CMR 6.60(2))。これは、フォスターケアへの委託と同時に親権終了が申し立てられない限り、親子再統合を目標として作成される。サービスプランでは、再統合のために解決されるべき問題、特定の時間内に親によって達成されるべき課題、特定の時間内に子ども家庭局が提供するサービスの内容、子どもが受けるセラピーや治療、といったことが具体的に計画される。そして、子ども家庭局は、6カ月おきにサービスプランの達成度や効果を確認し、プランの見直しを行う(110 CMR 6.12)。
 里親は、子ども家庭局や子どもの実親と協力して、サービスプランを実施する責任を負う(110 CMR 7.104(1)(k))。サービスプランに従って、実親子の面会に子どもを連れて行ったり、実親の訪問を受け入れたりすることもある。つまり、里親は、親子へのサービスの提供チームの一員として位置付けられているのである。
62原田綾子「要保護児童のための養子縁組支援―アメリカでの実情と日本への示唆(上)」『戸籍時報』646号、日本加除出版、2009年、69頁
63 同上70頁
64 MGL 119.32

イ. 子どもの永続的養育の方針決定
 アメリカのフォスターケアは、あくまで暫定的な養育環境を子どもに与える仕組みとされ、それが長期化することは望ましくないとされている。これは、長期化すると子どもの「たらい回し」が発生しやすくなり、子どもに有害だと考えられているためである65。したがって、アメリカのフォスターケアは実親子の再統合を第一の目標とはするものの、いつまでも再統合の支援が続けられるわけではない。前述のように、連邦法ASFAは、家族再統合のための期間を「原則1年」としている。マサチューセッツ州でも、フォスターケアの委託から12ヶ月後に子どもの永続的養育の方針を決定するパーマネンシー・ヒアリングが開かれなければならないとされ、そこで、①実親との再統合、②養子縁組、③(親権を終了せずに)後見、④その他の支援(長期里親、施設ケアなど)、のいずれかが今後の方針として決定される。この時点で再統合の目途が立っていなければ、そこで再統合の支援が打ち切られ、実親に代わる養育者、または養育の場を検討することになるのである。
 代替的な養育者の確保方法としては、養子縁組が推進されている。アメリカでは、施設で育つことは子どもが育つ環境としてよくないということは当然視されており、また、里親に委託されている場合であっても、子どもがたらい回しにされるケースが多いため、永続的な家庭としては機能しにくいとされているのである。したがって、実親との再統合が困難な場合には、子どもに永続的な家庭を与えることのできる養子縁組が最も優れた手段であると位置づけられる。

ウ. 養子縁組のあっせん―民間団体MAREを例に
 養子縁組先を探すフォスターケア委託児童は、永続的な家族が現れるのを待っている、という意味で、「ウェイティング・チルドレン」と呼ばれる。
 ウェイティング・チルドレンの養子縁組を実現するには、まず、養親候補者と子どもとが知り合う機会を提供する必要がある。その中心的な役割を担うのが、『マサチューセッツ・アドプション・リソース・エクスチェンジ』(Massachusetts Adoption Resource Exchange)という非営利の民間団体である66。略して『MARE』と呼ばれている。MAREは、州の子ども家庭局との契約に基づいて、フォスターケアに留まっている子どもたちと、養子縁組によって子どもを迎えたいと望む家族の情報を収集、整理、共有することによって、より多くの子どもと家族が出会えるように支援している。
 MAREは、州の子ども家庭局や民間の福祉団体からウェイティング・チルドレンの情報を受け取り、それに基づいて子どものデータベースを作っている。そして、一人ひとりの子どもの顔写真と、性格・好きなこと・どんな家族を求めているか・誰と会い続けたいと思っているか、などをまとめたプロフィールが冊子にまとめられ、図書館などで一般市民に閲覧される。その電子版もあり、インターネットで閲覧することができる。その他、テレビ番組や新聞などのメディアを通じた紹介もなされている。
 こうした情報を閲覧した人々がMAREに問い合わせをしてくる。これらの人々は、MAREのスタッフからフォスターケアの養子縁組について説明を受け、トレーニング67を受ける(このトレーニングは、養子縁組を前提とした里親希望者のほか、親子再統合を前提とする短期の里親希望者にも受講が義務付けられている)。養子縁組前提の里親として認定されると、その情報がデータベースに載せられ、MAREを通じた子どもとのマッチングが受けられるようになる。MAREは、子どもと養親希望者の情報を照らし合わせて、うまくいきそうな組み合わせを探すが、実際にマッチングするかどうかは、その子どもを担当している養子縁組ワーカーが最終的に判断する。
 州のあっせん法により、民間のあっせん団体のライセンス基準等が定められていることにより、公的機関と民間団体が協働して、より効果的なあっせんができるようになっているのである。

エ. 養子縁組
養親となることを裁判所に認められるためには、「申立人(養親となる者)には、当該子どもを養育し、適切な援助と教育を与える十分な能力がある」と認定されなければならない(MGL 210.6)。州の子ども家庭局や民間の里親・養子縁組団体が、家庭調査や面接調査を行い、試験養育の状況も考慮して、養親候補者の養育能力をアセスメントし、それを裁判所に報告するという仕組みになっている(MGL 210.5A)。
 養親への経済的支援としては、子どものニーズに応じて、里親手当と同程度の養子縁組手当や医療費の補助が行われる。虐待やネグレクトの結果、子どもが身体的障害や発達の遅滞を持つ場合があり、現実問題としてこのような支援がないと養子縁組が不可能な子どもが多いため、縁組後の支援の存在は養子縁組の促進に重要な役割を果たしているといわれている68
 (5)オープンアドプション(オープンな養子縁組)
70年代頃まで、養子縁組では秘密性・匿名性が重視されていた。しかし、成人した養子たちが起こした、旧出生証明書や養子縁組記録の開示を求める運動をきっかけに、そのような養子縁組のあり方は疑問視されるようになっていった。80年代になると、各州で情報開示のルールが改正され、実親の医学的背景などの情報は、成人した養子に無条件で開示されるようになった。しかし多くの州は現在も、縁組記録や旧出生証明書そのものの開示には慎重な姿勢を示しており、匿名性を前提に養子縁組をした当事者、特に実親のプライバシー保護の観点から、養子の記録アクセスは依然として高い制約を受けているといえる69
 しかし、現在は、未婚での出産に対する偏見が弱まり、匿名性を求めない実親も多くなっている。その中で、実親、特に実母たちは、自らの匿名性を放棄してでも。子どもがどんな人にもらわれるのか、子どもがその後どんな暮らしをしているのかを知りたい、さらには縁組後も子どもと会いたいという希望を持つようになったのである。そんな中広まってきたのがオープンアドプションなのである。概要については、前章3.(8)において述べたため、ここではその背景を述べるにとどめたい。
65 原田綾子「アメリカのフォスターケアの実情と課題 子どものためのケースプランニングの観点から」(注59)139頁
66
原田綾子「要保護児童のための養子縁組支援―アメリカでの実情と日本への示唆(下)」『戸籍時報』648号、日本加除出版、2009年、64頁
67 『マサチューセッツ・養育におけるパートナーシップ入門』(Massachusetts Approach to Partnership in Parenting)といい、略して『MAPPトレーニング』と呼ばれる。
68 原田綾子(注64)61頁
69 同上551頁


おわりに このページのトップへ
 本共同研究は、パーマネンシー・プランニングの観点から、日本の社会的養護に養子縁組を位置付ける制度設計をテーマとした。
 まず第1部では、児童の代替的措置についての世界的な動向と、日本の社会的養護の現状との比較を通して、日本の社会的養護にはパーマネンシーの理念が欠如しているという大きな問題を明らかにした。さらに、その問題の改善のため、社会的養護に養子縁組を位置付ける必要性を論じ、具体的な措置の流れを構築した。
 次に第2部では、諸外国の養子縁組制度の詳細な考察を基に、日本における要保護児童のための養子縁組制度実現に向けた、具体的な法整備を提言した。
 なお、これらを達成するためには、社会的養護全体の質の向上、要保護児童や養子縁組に対する社会の理解が深まることなど、多くの課題が残っている。全ての子どもが温かな家庭環境のなかで成長していける社会の構築を切に願うと共に、今後さらに研究を重ねていく所存である。


謝辞
本稿は、筆者が中央大学法学部家族関係法ゼミでの研究成果をまとめたものである。同学部鈴木博人教授には、研究にあたって終始ご指導を頂いた。ここに深謝の意を表する。
また、社団法人家庭養護促進協会、NPO法人千葉県里親家庭支援センター、NPO法人東京都養育家庭の会、NPO法人キーアセットディレクター渡邊守様、川崎市こども福祉課、子ども家庭支援センター・チェリー、以上の方々に資料を提供して頂くとともに、有益なご助言を頂いた。ここに感謝の意を表する。


参考文献
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http://www5f.biglobe.ne.jp/~ainote/satoyou/satoyou-syurui.html
・アジア子どもの権利と里子養育会議2006イン・ソウル(第1回アジア里親大会)「韓国の家庭委託保護制度(里親制度)の概要」 (2006年)
・オレンジリボンネット 「子ども虐待防止を読み解くことば 第5回試しの時期受けとめ―受けとめられ 芹沢俊介」(2012年2月14日アクセス)
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・鈴木博人「福祉制度としての養子制度―特別養子縁組の父母の同意を手がかりにして」『法學新報』 第104巻 第8・9号 (1998年6月15日)
・全国児童相談所長会事務局「全児相」通巻第91巻別冊 (2011年)
・高橋由紀子「ドイツの里親制度―児童虐待との関連から」『新しい家族』第44号 (2004年)
・高橋由紀子「ドイツの養子縁組斡旋事業の制度と実態」『新しい家族』第50号 (2007年)
・高橋由紀子・湯沢雍彦、『要保護児童養子斡旋の国際比較』日本加除出版株式会社
(2007年)
・床谷文雄「特集家族法改正―離婚・親子法を中心に 養子法」:『ジュリスト』有斐閣 01号 41頁(2009年9月)
・床谷文雄 「養子制度の比較法的研究の課題」 『民商法雑誌』 第138巻 第4・5号 (2008年8月15日)
・床谷文雄 「養子法」 『ジュリスト』 No.1384 (有斐閣出版) (2009年9月1日)
・中川良延 「子どもの福祉の養子縁組とは―――養子縁組制度の現状と課題」 『里親と子ども』 (明石書店) 第5号 (2010年10月1日)
・日韓フォスターケア(里親)フォーラム2008資料 (2008年)
・二宮周平 『家族法 第3版』 新世社 (2009年10月10日)
・野沢正子「児童福祉の方法原理:子どもの権利条約及びパーマネンシー・プランニングの意義と特質」(2000年)
・原田綾子「要保護児童のための養子縁組支援―アメリカでの実情と日本への示唆(上)」『戸籍時報』646号 日本加除出版 (2009年)
・原田綾子「要保護児童のための養子縁組支援―アメリカでの実情と日本への示唆(下)」『戸籍時報』648号 日本加除出版 (2009年)
・ピーター・J・ペコラ「特別講演:アメリカにおける21世紀の里親家庭養育―永遠のわが家を求める子どもを支援するチャレンジと好機」『新しい家族』54号 73頁
(2011年)
・ピーター・ヘイズ 土生としえ 『日本の養子縁組 社会的養護施策の位置づけと展望』 明石書店 (2011年2月20日)
・平田美智子「アメリカのコンカレント・プランニングとパーマネンシー・プランニング里親」『新しい家族』第51号 (2008年)
・平田美智子・湯沢雍彦、『要保護児童養子斡旋の国際比較』日本加除出版株式会社(2007年)
・法務省「戸籍統計」(2010年)
・マーク・ハーディン 「アメリカ合衆国の Adoption and Safe Families Act of 1997 (養子縁組および安全家庭法)―養子縁組、里親養育を中心とした児童保護システム」 『新しい家族』 第39号 (2001年10月30日)
・森和子 「養親子における「真実告知」に関する一考察」 『文京学院大学研究紀要』 第7号 第1巻 (2005年)

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